とはいえ、まだまだ有人レジに並ぶ客も少なくありません。
キャッシャーのスタッフと気軽に会話を交わしながら、昔ながらの買い物に安心感があるのでしょうか。
今回取材に応じてくれた、都内の出版社に勤める編集者の安達さん(仮名・35歳)も有人レジ派の一人なのだそうですが、思わぬ騒動に巻き込まれ警察を呼ぶはめになったようです。
◆月一のアイス特売日、嬉しいはずの買い物が
平日の夕方、取材先からの直帰で途中でスーパーへ立ち寄ったそうです。安達さん夫婦は共働きで、妻が看護師のため、週の半分は安達さん自身が夕飯の支度を担当しているとのことです。「その夜のメニューは焼きそばに決めたんです。ちょうどキャベツと豚肉が大特価だったので。しかも、その日は月一のアイスクリーム特売の日でもあったので、かなり買い占めました」

しかし、その嬉しさはレジに並ぶまでだったといいます。混み合う夕方の時間帯、ほかのレジはどこも長蛇の列。ようやく唯一空いているレジを見つけて並んだところ、前に並んでいた老人客が財布を取り出し、レジ台のトレイに大量の小銭を広げはじめたそうです。
それも、かなり細かな小銭ばかり。1円玉や5円玉が次々とトレイに積まれていく様子に、レジの女性店員も思わず目を丸くしていたといいます。レジ横のポップには「大量の小銭でのお支払いはご遠慮ください」という旨の案内が貼られていたそうですが、店員はその老人に同情したのか、一緒になって小銭を数えはじめたそうです。
◆アイスが溶けないか心配でしょうがない
店員は小銭を丁寧に数えますが、なかなか合計金額に届かない。そんな状況が続く中、安達さんは焦りを隠せなかったといいます。「アイスがどんどん柔らかくなっていくんですよ。もう気が気じゃなくて」
元々どちらかというと気が長いタイプだという安達さんも、この日ばかりは例外でした。店員が小銭を指で弾きながら数える光景を眺めながら、安達さんの中で焦りが少しずつ積み重なっていったといいます。
そして、ついに思わず口をついて出てしまったのです。
「小銭多すぎだよ」
ため息混じりの、決して大きくはない声だったそうです。しかし、その一言が老人の怒りのスイッチを押してしまいました。

