
◆手のひらに忍ばせたスマートウォッチを袖口からそっと出して……
「7月JLPT、緊急救済、焦っている人、ラッキーな方法で合格」
「これはカンニング業者の広告です。JLPTは5段階のレベルがあり、日本で働く外国人にとって就職や国家資格への鍵となる、日本政府お墨付きの試験です。最近この手の広告が増えてきたのは、昨年10月に入管法が改正されたからでしょう。経営・管理ビザの資本金要件が3000万円に引き上げられたことに加え、JLPTのN2(上から2番目のレベル)以上の日本語能力が求められるようになったのです」
近年、国民感情が「移民反対」へと傾くなか、在留資格の運用や高度人材の選別をより厳格化すべく入管法が改正された。その影響で、都市部のガチ中華やガチインドなど本格外国料理店が減るのではとも懸念されており、賛否が渦巻いている格好だ。
「入管法改正を受け、JLPTの受験者数は増えています。7月の試験については、申し込み期限を10日以上も前倒しして締め切ったほど。就職や待遇面で有利になる技能実習生や留学生のほか、日本語能力の怪しい経営・管理ビザ取得者などが申し込んだ影響だと見ていいでしょう」(広瀬氏)
◆日本の試験会場では身体検査はされない
さて、話を冒頭の広告に戻そう。JLPTのカンニング業者の手口や実態はどうなっているのか。小誌記者は受験者を装い、業者とやりとりしてみた。まず、中国系SNS「小紅書」で“合格保証”を謳い、集客していた業者Xにコンタクトを取ると、WeChat(中国版LINE)に誘導され、音声メッセージで詳細が送信されてきた。
「カンニングはスマートウォッチか小型イヤホンで行います。試験が始まってしばらくしたら、そこに解答を送ります。金額的には前者が安くてオススメですよ。費用はN1とN2は2万元(約46万円)。イヤホン方式はプラス1万元になります」
Xによると、試験前に手付金として半額を支払い、試験後に残金を精算するという。「契約書も作るので安心して」と慣れた様子だ。
イヤホン方式が高い理由について、業者は「専用の小型イヤホンを中国から取り寄せる必要があるから」と説明。カンニング行為について試験運営側も警戒しているはずだが、「日本の会場ではわざわざ受験生の身体検査まではしないから大丈夫」とのこと。
加えて、Xはなんと「4月のTOEICでも多くの学生がスマートウォッチ方式で高得点を得ました」と言うではないか。昨年6月、大々的に報じられたTOIEC不正受験事件では、計803人の試験が無効化される大騒動となったが、Xはこの事件への関与を堂々と成果として誇っていた。

