◆試験中に送られてきた「一枚の画像」の正体
次に当たった業者Yは、一見すると学習塾を思わせる文言で宣伝していた。DMを送ると、説明が始まった。「我々は11年間、点数保証プロジェクトをやっています。実は私たちは塾ではありません。あなたがスマートウォッチかイヤホンを試験会場に持ち込んで、試験開始後にこちらから答えを送信する形で点数保証をします。私たちはJLPTのほか、EJU(日本留学試験)、TOEICなど各種試験での合格を保証しています。最近は日本のビザに関する新規定の影響で、問い合わせが急増していますよ。今後、値上げは避けられませんが今予約すれば価格を据え置きで対応します」
Yは信頼を得るためか、実績を誇るかのように過去の受験生とのチャット履歴や出入金明細をタイムラインに掲載していたが、さらに小誌記者にスマートウォッチを使って不正する実演動画まで送ってきた(写真参照)。Yは最後にこう言い残した。

最後に当たった業者Zは、XやYとほぼ同じ営業トークを展開していたが、フォロワーにしか公開していないモーメントにあった画像に戦慄した。数字が並んだメッセージの文面は、昨年12月のマークシート方式のJLPTの解答番号だというのだ。しかも送信日時は当日の試験時間中だった。一枚の画像があれば、全問題の正解がわかってしまう。スマートウォッチを使ったカンニングは想像以上に簡単なようだ。
◆より深刻な不正が疑われる海外の試験場
接触した業者は、主に日本国内の受験生を対象にしていたが、実はJLPTは多数の海外試験場が存在する。ここにも問題があると広瀬氏は説明する。「JLPTは世界約90か国以上、270以上の都市で受験が可能です。途上国においては、試験関係者への賄賂や、結託した人間を会場に潜り込ませやすい。一部の国では金属探知機検査や巡回監視の強化が行われているようですが、カンニング業者の関係者が試験官として潜り込み、不正に加担するケースもあると聞いています」
実際、業者Yが投稿していた、中国国内の受験者とのメッセージのやりとり内容には「中国国内に提携している試験会場があります。試験会場の関係者に根回しをして、あなたの解答用紙を差し替えます。あなたはただ試験会場に行き、形だけ参加すればいい」と書かれていた。
カンニングが大きな“地下産業”として存在する中国では、技術もどんどん進化している。最近では超小型イヤホンに加え、偽装型スマートグラスなども出現しており、発見するのはますます困難になっている。

不正がはびこり、たちの悪い移民が増えることがあってはならない。そして何より、真面目に勉強して受験する外国人にとっても大迷惑な話だ。試験まで約1か月、一刻も早く対策を講じてもらいたい。
<取材・文・撮影/SPA!「日本語試験カンニング問題」取材班>

