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経営するアパートが老朽化…賃借人への立退きを要求する場合、「立退料」はいくらが妥当?【弁護士の回答】

経営するアパートが老朽化…賃借人への立退きを要求する場合、「立退料」はいくらが妥当?【弁護士の回答】

立退きを拒否されたら…

賃貸人から建物の老朽化を理由に契約解約の申入れをする場合には、まず、前提として、建物の老朽化が著しく進んでいることが必要です。

この点については、築年数が相当程度経過しており、かつ耐震性の観点からみても倒壊の可能性が高く、また耐震のための工事には相応の費用を要する、などの事情が存在することが必要です。

「立退料」の支払い金額はいくらが妥当?

また、上記の事情が存在した場合であっても、建物の老朽化を理由とした解約申入れの場合、建物が倒壊寸前ですぐにでも取り壊さなければならないというような極めて特殊な場合を除いて、建物の老朽化という事情だけではこの「正当事由」は認められず、それを補完するものとして「立退料」の支払いが必要となります。

立退料の金額については、その算定方法等について、法律上明確な基準があるわけではありません。裁判例をみると、

  • 建物の老朽化の程度が高ければ、立退料も低くなる
  • 建物の老朽化の程度が低ければ、立退料は高くなる(もしくは立退き自体認められない)

という一応の傾向があるものの、具体的な金額はケースバイケースで決められています。

たとえば、東京地方裁判所令和2年2月18日判決の事例では、築45年が経過した賃貸アパートについて、耐震診断の結果「倒壊する可能性が高い」と判定され、耐震補強工事費用が1,650万8,000円(税別)と見積もられていたという事情があったことから、賃料の20ヵ月分に相当する立退料100万円の提供をもって、契約解約の正当事由が認められています。

このほか、移転費用(引越代や新居の契約にかかる費用)および現住居と新居の家賃差額の1〜3年分の合計額を相当な立退料とするという考え方もあります。このように、立退料の金額については、裁判例の事案と自分の事案を見比べながら、どの程度の立退料が必要なのかということの見当をつけていくことが必要になります。

トラブルへの発展を避け、円満な立退きを促す

以上説明してきたとおり、賃貸人側としては、建物の老朽化を理由とした立退きを行う場合、

  • 建物の老朽化の程度について耐震診断を行い、正確な状態を把握するとともに客観的な資料を揃える
  • 裁判事例を検討して、自分のケースではどの程度の立退料が必要なのか見当をつける
  • 立退料を提示して、契約解約の合意ができるよう賃借人との交渉を行う

という対応が必要になります。

万が一、交渉が決裂した場合には、賃貸人側としては訴訟を起こさなければならず、この場合当然ながら期間もかかるうえ(裁判となった場合、通常は1年程度の期間がかかります)、立退料とは別に裁判費用もかかります。また、裁判となった場合、立退き自体が認められないというリスクもあります。

賃借人側としても、訴訟となれば、賃貸人と同様に裁判費用がかかり、裁判が続いているあいだは先行きが不安定な状況に置かれてしまうというリスクを抱えることになります。

賃貸人としては上記のような事態を避けるためにも、立退料の提示のほか、たとえば転居先を斡旋するなど誠意を尽くして協議を行うことが望ましいでしょう。

監修:弁護士 北村 亮典

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