退職代行サービスそのものが違法と判断されたわけではない。しかし、モームリと継続的に提携していた弁護士が有罪となったことで、業界最大手の信用に傷がついたことは避けられない。この判決はどう評価されるべきか。モームリはどうなるのか。そして、利用者は何を気をつければいいのか。アディーレ法律事務所の南澤毅吾弁護士に聞いた。

◆「量刑は妥当」1年6か月という刑期をどう見るか
今回の判決について、南澤弁護士はまず量刑の妥当性を指摘する。「非弁提携は犯罪ではありますが、弁護士法上の法定刑は『2年以下の懲役(拘禁刑)又は300万円以下の罰金』と定められており、その範囲内では、1年6か月という判決は標準的な刑期といえます」
判決の背景にある事実はこうだ。代表弁護士は2023年から2025年にかけて、モームリの運営会社「アルバトロス」側から退職希望者85人の紹介を受け、虚偽の名目で計約110万円の報酬を支払っていたという。
執行猶予がついた点についても、南澤弁護士は「妥当」とみる。
「近年の弁護士の不祥事では、顧客の金銭を横領するような悪質なケースも見られますが、今回の件は顧客への直接的な損害はありません。逮捕報道によって社会的な制裁も十分に受けていると考えられます」
◆他業界では普通の「紹介料」が、なぜ弁護士だと違法なのか
今回の事件の核心は「非弁提携」と呼ばれる行為だ。モームリ側が退職希望者を提携弁護士に紹介し、弁護士側はその見返りとして金銭を受け取っていた。弁護士を紹介すること自体は違法ではないが、そこに対価が伴うことで弁護士法27条違反となる。南澤弁護士はこの規制の趣旨をこう説明する。「紹介料を払うこと自体は、他の業界では慣行的に行われていることです。しかし弁護士については、他業種への支払いが特に規制されています。その理由は、弁護士の判断よりも提携先の会社が力を持ってしまうこと、紹介料目当てに不必要な弁護士への誘導が行われることを予防するためです」
つまり、弁護士が金銭的な利害関係によって独立性を損なうことを防ぐための規制である。本来、弁護士は依頼者の利益を最優先に判断しなければならない。しかし紹介元の業者に経済的に依存する構造になれば、その独立性が揺らぐ。それが法律によって特に禁じられている理由だ。

