運輸・建設業に見る供給制約の深刻さ
人手不足率が高かった運輸・倉庫業や建設業も、日本経済が抱える構造課題を浮き彫りにしている。
運輸業界では、いわゆる「2024年問題」の影響が続いている。ドライバー不足に加え、時間外労働規制によって輸送能力そのものが低下したためだ。これは単純な人員不足だけでは説明できない。同じ人数がいても、以前と同じ量の荷物を運べなくなっているという。
つまり運輸業界では、人手不足と供給能力不足が同時に進行しているといえる。EC市場の拡大や物流需要の増加が続くなか、輸送能力の不足は企業活動全体に影響を及ぼしかねない。
建設業も同様だ。老朽化したインフラの更新、防災・減災対策、都市再開発など社会的需要は依然として大きい。しかし現場を支える技能労働者の高齢化が進み、若年層の確保は難しくなっている。需要があるにもかかわらず供給できない。こうした供給制約は、今後の日本経済における成長のボトルネックになる可能性も否定できない。
人手不足倒産が示す経営環境の変化
人手不足の深刻さを示す象徴的な数字が、人手不足倒産の増加だ。
帝国データバンクによると、2025年度の人手不足倒産は441件となり、過去最多を更新した。かつて企業倒産の主な原因は売上不振や資金繰り悪化だった。
しかし現在は、
・採用できない
・従業員が定着しない
・後継者が見つからない
といった人材面の問題が、倒産要因として存在感を高めている。
特に地方企業や中小企業では、大企業との賃金競争や採用競争で不利な立場に置かれるケースも少なくない。人口減少という社会課題が、企業経営に直接的な影響を及ぼし始めているという。
