
◆地元で経験した壮絶ないじめ
――“女王様”と聞くと、どうしても「痛いことをされるのではないか」と身構えてしまいます。環奈:日常の人間関係では言いづらいゆがんだ性癖をさらけ出すために、女王様がいるのだと思っています。ムチで人を叩いたりすることが女王様の本質ではありません。もっと精神的に奥底にある「言えない願望」を叶える仕事だと考えているんです。
――カウンセリングをしっかり行うと聞きました。
環奈:そうですね。「本当にされたくないこと」「本当に言われたくないこと」を聞くようにしています。私と接する時間を楽しんでほしいし、不用意な言動で傷つけたくないと思っているからです。個人的には、人の痛みがわかる人間が女王様をやるべきだと思っていますし、そうありたいとも思っています。
――環奈さん自身、人間関係にはかなり苦しんだとか。
環奈:私は福岡県北九州市で育ったのですが、中学生になると、いじめに遭うようになりました。主に容姿に関することです。「ブス」「デブ」という言葉に傷つけられました。顎がしゃくれ気味だったことから「イノキ」というあだ名で呼ばれたこともあります。また家庭でも問題を抱えていたことから、当時は「生きていたくない」と思うことがしばしばありました。
◆服で隠れる範囲を狙う…苛烈な母親の暴力
――どのようなご家庭で育ちましたか。環奈:母と実父は、物心ついたときには離婚していました。だから私は実父がどんな人なのか、顔さえもわかりません。義理の父と再婚したのは、私が小1のときだったと思います。血こそ繋がっていませんが、現在でも帰省の際には自宅に泊めてもらうこともあるなど、交流があります。一方で、母とはもう連絡も取っていなくて……。
――何があったのか気になります。
環奈:もともと小学校低学年あたりから、怒ると手が出る人ではありました。ただ、中学生になると、その暴力の頻度がエスカレートしていったんです。義理の父にバレてはいけないと考えたのでしょう、顔などの見えるところは殴られませんでした。全部、洋服で隠れる範囲を狙っていました。もちろん、怒られるときは母の気分です。また、ふと思い出したように、「あんたってブスだよねぇ」と私を見て言うこともありました。
私は17歳になる前に家出をして、当時交際していた彼氏の家に半ば避難したんです。母は、義理の父ともそのときすでに離婚していました。母から逃れるためでもあり、母の当時の交際相手から逃れるためでもありました。私たちの家に転がり込んできたその彼氏は、私が入っているとわかっていながら風呂やトイレを覗くなどの行動を取るような人でした。
――具体的に、どんなトリガーで暴力を振るわれるのでしょうか。
環奈:ほんの一例ですが、義弟(義理の父親との子ども)が小学校で忘れ物をして、それを担任の先生に指摘されたとします。すると母はフラストレーションが溜まりますよね。それを、「お前の監督不行き届きだ」みたいな形で、私を殴ることで発散させるんです。ちなみに、私が家出をする前に母の彼氏からトイレを覗かれたりしても母に相談しなかったのは、このときの体験があるからです。「どうせ私が悪いことにされる」と思ってしまうんです。

