脳トレ四択クイズ | Merkystyle
「バカなの!?」女性上司の怒鳴り声が響く生保の日常。傍から見ればいじめの現場だが…“被害者”が泣き寝入りを強いられるワケ

「バカなの!?」女性上司の怒鳴り声が響く生保の日常。傍から見ればいじめの現場だが…“被害者”が泣き寝入りを強いられるワケ

◆自腹を切って当然の空気感

③強制的な自費での購買

これは筆者を含め、職員全員が当事者であった。自分の担当外であっても、上司やチームメンバーの顧客が販売する商品のチラシを渡され、購入を求められた。確定申告で経費計上するが、あくまでも自費だ。

クリスマスケーキに始まり、お中元、お歳暮と、季節のイベントごとに繰り返される。「甘いもの苦手なので結構です」と断ると、「いつもお世話になっているでしょ」「家族やお客さまへの贈り物として買えばいいのよ」と返ってきた。言葉を重ねられると、断れる空気ではなかった。

ハラスメントをおこなう上司は、たいてい仕事に熱心だ。ルールを守り、理不尽にも耐え、数字を出し続けてきた。なのになぜ部下は同じようにできないのか……怒りが、指導という名のハラスメントに変わる。本人に悪意はなく、むしろ正しいことをしているという確信がある。だからこそ始末が悪い。

会社からすれば部下を引っ張って数字もついてくる、ありがたい存在だ。「厳しいけど正しい」という評価が先に立つと、言動は「熱意ある指導」として解釈される。実際に営業部長に相談しても、返ってきたのは「ちょっとやり方はすごいけど……彼女はいつもそれで皆に結果を出させるからねぇ」という言葉だった。注意するどころか、半ば称賛に近いニュアンスであった。

◆訴えが無視される仕組みを構築

仮にパワハラ被害者が「訴えよう」と決意したとして、生命保険の営業職員の場合は新たな壁が立ちはだかる。

生命保険会社の営業職員、いわゆる生保レディは、入社時は労働契約を結んだ正規の職員だ。しかし成績基準を満たせない場合、「外務嘱託」と呼ばれる委任契約に移行させられる制度を設けている会社が一部に存在する。

委任契約に移行すると労働契約ではなくなるため、労働基準監督署に相談しても「対応できない」と門前払いにされるケースが多かったという。泣き寝入りできずに会社と裁判で争った人もいるが、結果は完敗。大手生保はトラブルの火消しに慣れているからだ。長年、生保レディたちの相談は多く寄せられ続けてきたにもかかわらず、法的な受け皿は乏しかったようである。

今回取り上げたエピソードは、生命保険業界ならではの背景もある。採用も営業も成果主義で回る職場だからこそ、数字を出す人間が絶対視されやすい。

ただ、管理職の質が問われないまま女性が上に立つことは、生命保険業界に限った話ではない。「女社会ってこわい」「女はこんなもんだよね」という言葉で片付けられてきた問題を、そろそろ正面から問い直す時期ではないだろうか。

<TEXT/大崎アイ>

【大崎アイ】
関西出身、東京都在住の30代。営業畑を渡り歩いた末、2024年にフリーランスへ転身。旅と酒をこよなく愛する。フットワークの軽さがウリ。フリーランスの日常はnoteで気ままに綴ってます。Xアカウント: @aia___iiiii note:大崎アイ
配信元: 日刊SPA!

あなたにおすすめ