専門家の視点|援助の問題は「金額」よりも「目的」
今回のケースで問題だったのは、年間60万円という援助額そのものではありません。息子が経済的に困っていて、親子で話し合ったうえで支援しているのであれば、大きな問題にはなりにくいでしょう。
一方で由美子さんの場合は、息子が求めていないにもかかわらず援助を続けていました。その背景には、「必要とされたい」「役に立ちたい」という気持ちがあったのでしょう。こうした思いは自然なものですが、援助が親自身の安心感を満たすための手段になると、子どもの自立を妨げたり、親子関係に負担をかけたりすることがあります。
また、65歳以降は医療費や介護費用など予測しにくい支出も増えます。老後資金を守るためにも、「本当に相手が必要としている支援なのか」「自分の生活に無理はないか」を定期的に見直すことが大切です。
成人した子どもに対する親の役割は、先回りして助けることではなく、必要なときに支えられる存在でいることだといえるでしょう。
「子どものために」と思って続けていた行動が、実は子どもの負担になっていた。親子関係では珍しくない話です。だからこそ、援助を続ける前に『これは相手のためか、それとも自分の安心のためか』を一度立ち止まって考えてみることが大切なのです。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
