◆秋篠宮家の盾となってもらう「茨の道」
さて、合意案の内容である。マスコミでは第二案が本命のように扱われてきた。しかし、これが実現したところで、ハッピーエンドでも何でもない。茨の道の始まりでしかない。
悠仁殿下にお子様が生まれれば万々歳。しかし、絶対に子供が生まれる保証など無い。だから、いつでも皇位を継承できる宮家が存在しなければならない。そこで、GHQにより皇籍離脱を余儀なくされた旧皇族と呼ばれる方々の子孫に、本来の身分を取り戻していただこうとの案である。今後は「新皇族」となる。
ただ、悠仁殿下のお妃探し、お世継ぎづくりが第一である。仮に悠仁殿下に無事に男の子がお生まれになれば、「新皇族」の方々の子孫は天皇にならない。そうなると、国民としての自由を捨て、悠仁殿下の為に尽くすだけの人生となる。そして下衆なマスコミやSNSの連中は秋篠宮家に代えて、「新皇族」をバッシングの対象とするだろう。言わば、「新皇族」の方々には、秋篠宮家の盾となってもらう。これが茨の所以である。
実は第二案は、実現しなくても皇室が滅びる訳ではない。しかし、第一案に含まれた猛毒は、皇室を即死させる。
◆配偶者と子供の身分は「将来、適時適切に」
第一案の「女性皇族が結婚後も皇室に残る」自体には、日本保守党を除く全会派が賛成である。問題は、配偶者と子供の身分である。野田佳彦元首相などは立憲民主党時代から党の見解と関係なく個人の意見として「皇族にしろ」と頑なに訴え続けてきた。それを党の見解として扱ってあげた自民党(麻生太郎元首相)も、どうかしているのだが。しかし、政界の圧倒的多数は「日本の歴史に一度も先例が無い。それを認めれば皇室の伝統の根幹に関わる」と撥ねつけてきた。
立憲民主党が中道改革連合になり、改めて党見解をまとめ直した。そこには「将来、適時適切に」とあった。内親王が旧皇族の方とご結婚される場合も含まれるから、こういう表現になった。その暗号、自民党に伝わり、最終的には「皇室の歴史に整合的であ」るべし、と入った。これで絶対に単なる一般人の男が皇族になる可能性はない。
取りまとめ前の森議長の言動が怪しかったので、見るに見かねて知恵を伝えた人がいるのだろう(笑)。
それにしても、多くのマスコミは「女性皇族の配偶者の身分に関しては明記せず」と報じている。字が読めないのか?
10日の取りまとめでは、自民・維新の与党に加え、国民・中道・公明・参政・みらいの七党が賛成。参議院第一党の立憲民主党も中立に回った。反対派の最後の拠点が参議院立憲だったが、そこも切り崩された。
皇室を潰したい側は、一回だけ勝てばよい。守りたい側は永遠に勝ち続けなければならない。
これからもだ。
―[言論ストロングスタイル]―
【倉山 満】
皇室史家。憲政史研究家。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本近世史』が2月28日より発売

