このケースから学べるポイントと教訓
- 投資で成功することと幸せな家庭を築くことには、別の能力が必要。
- 「効率」で測れない時間こそ、最大の資産になり得る。
- 財産は、名義が自分でも離婚時には原則として半分になる。
- ときには立ち止まって「お金を増やす」という手段が、「目的」にすり替わっていないか、振り返る勇気も必要。
彼は1円のムダも見逃しませんでした。けれど、人生で取り戻せない「家族との時間」を見逃し続けていたのです。投資ではコストを抑えた効率性が資産を増やしてくれます。しかし、家庭では非効率でムダな時間こそが、家族の関係を「複利」で育ててくれます。1億円より重い資産は、一緒に隣で笑ってくれる家族や仲間たちの存在です。
あなたが家計簿で赤く塗りつぶす支出のなかに、人生で最も価値あるものが紛れていないでしょうか。ちょっとだけ立ち止まって振り返ってみてはいかがでしょうか。
※1 金融資産保有額:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円、中央値720万円。中央値とは、世帯を保有額の少ない順に並べたときちょうど真んなかにあたる値で、一部の高額世帯に引き上げられる平均値よりも、実態に近い数字とされる。また、同調査によると、運用や将来の備えとして金融資産を1億円以上保有する世帯は、二人以上世帯では約3.1%(1億円以上世帯155÷(調査対象の二人以上世帯5,000−金額無回答100)×100=3.16%)。なお、この金融資産には土地・住宅や日常決済用の預金、事業用資産は含まれない。隆夫さんの資産がいかに突出した水準かがわかる。
※2 財産分与制度:法務省「民法等の一部を改正する法律について」。財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた共有財産を分け合う制度(民法768条)。割合は従来から裁判実務上「2分の1ずつ」が原則として定着していたが、判断基準は条文に明記されていなかった。2026年4月1日施行の改正民法は、婚姻中の財産形成・維持への寄与度は、明らかに異なるといえない限り夫婦で等しいものとすることを明文化した(民法768条3項)。財産形成・維持への寄与度は、明らかな差が認められない限り、夫婦で等しいものとされる。直接収入を得る就労だけでなく、家事労働や育児の分担なども寄与に含まれるため、収入額や財産の名義のみで機械的に分与割合が決まるわけではない。2分の1と異なる割合が認められるかどうかは、個別事情に基づいて判断される。あわせて、請求できる期間が2年から5年に伸長された。なお2分の1の対象は婚姻中に協力して築いた財産であり、婚姻前の財産や相続・贈与で得た財産(特有財産)は原則として対象外。
ファイナンシャルプランナー
青山創星
