冬の姿→春の花景色で見る! あやせローズガーデンのつるバラが咲く景色8選
Type 1 ガーデンへ誘う赤いバラの「エントランス」

あやせローズガーデンのエントランスで初夏にお客様を迎える大きなアーチに絡むのは、‘紅玉’。ころんと丸いカップ咲きの花が、ふわふわと浮かんで軽やかな雰囲気です。




つるバラは、栽培年数が長くなってくると下方に花が咲きにくくなる種類もあります。ここでは下方にも花を咲かせるため、アーチの柱を取り巻くように、なるべく横に倒しながら枝がS字を描くように誘引。また、長いつるであっても、すべてを上方まで誘引せず、一部はアーチの高さの中間程度で切ることで、下方にも花が咲くようにしています。
Type 2 庭と庭をつなぐ3つのアーチ
アーチ① ‘クリスティアーナ’

「シークレットガーデン」から「ホワイトガーデン」に向かう出口のアーチは、カップ咲きの‘クリスティアーナ’が縁取っています。植え付けて2年が経ち、今年はアーチの頂上までつるが達したことで、アーチをバラが縁取る風景になりました。


‘クリスティアーナ’はシュラブローズですが、年数をかければアーチを覆うまでにつるが伸びます。奥に見える「ホワイトガーデン」の景色にも馴染む淡いピンクが上品。
アーチ② ‘ギルランド・ダムール’

「ホワイトガーデン」と「トロピカルガーデン」の間のアーチは、小輪の純白花がたっぷり開花する‘ギルランド・ダムール’をアーチの左右に1株ずつ植えつけています。つるが細くしなやかで、花もまんべんなく咲き、軽やかな印象のアーチです。


‘ギルランド・ダムール’は、病害虫にも強く、とても優秀なバラと、河合さん。アーチをくぐる時にふわりと香ります。

あやせローズガーデンの庭と庭の間に設けられているアーチは、全部で7基あり、それらの大きさは全て高さ約2m、幅1.4m。人が通り抜けるのにも狭すぎず、奥の風景がちらっと見え、その先のエリアに行きたくなるサイズ。もちろん、バラの重みをしっかり支えるオリジナル製です。
アーチ③ ‘アイスフォーゲル’

「ドライガーデン」と「オセアニアガーデン」の間のアーチには、クライミングローズの‘アイスフォーゲル’とクレマチス‘はやて’を誘引。左右に植わる銅葉のトキワマンサクの生け垣とも調和する、ブラウン・ピンクと紫の華やかな色合わせに。

‘アイスフォーゲル’は、花色と花形が個性的で香りもよく、一目見たら忘れられない花です。残念ながら万全な耐病性ではなく、「あやせローズガーデン」では首の皮1枚でどうにか残っている品種です。
バラと同時期に咲くクレマチス‘はやて’は、新旧両枝咲きなので、早春につるを剪定し、春から伸びるつるをアーチに都度沿わせています。バラとの相性がよく、地植えに向く強健品種です。

Type 3 「ホワイトガーデン」のバラに囲まれる映えベンチ


ガゼボのベンチを囲む白花は、‘スノーグース’。左右に1株ずつ植えられ、今年春は頂上までつるが到達しました。ベンチの背景にもつるが配され、座ると花々に囲まれます。


‘スノーグース’は、よく咲く分、伸びるのが遅く、寒冷地では寒さに弱いのが残念なところ。「あやせローズガーデン」のような平地では、冬の寒さのダメージなく、この花景色が生まれます。
Type 4 初夏なのに木に雪が降るバラの演出

まるで一輪一輪が雪の粒のように咲く、八重咲きの‘アデレード・ドルレアン’をドイツトウヒに誘引し、新しい風景づくりに挑戦しています。あたかも雪をまとったかのような針葉樹を演出するのが目標です。
周囲に植わる白花のサポナリアも、雪が積もったような風景を演出しています。

バラの勢いがよく、つるがよく伸びる品種を使って、樹木とバラが共存するように枝数を調整しています。樹木につるを絡めすぎず、ふわりと雪が積もった雰囲気が出るようにシュートを3本に制限して、誘引しているのがポイント。


Type 5 「フラワーヒル」パステルカラーのバラの滝

斜面が花々で覆い隠され、まるでバラの花の滝のようなダイナミックな花風景の「フラワーヒル」。丘の上から吹く風に花々の優しい香りが運ばれて、幸せな気分が味わえるここは、「あやせローズガーデン」のなかでも一番人気の場所です。

小高い丘の頂上に向かう階段の左右に咲くバラは、‘群星(ぐんせい)’や‘ 群舞(ぐんまい)’など。紫の穂状花のキャットミント ‘シックスヒルズ・ジャイアント’とレースのような白花のオルレアがバラとバラの景色を繋いでいます。
一見、自然にバラが咲き誇っているように見えますが、じつはこの景色も冬の誘引作業によってつくられています。

この景色の実現には、冬の誘引テクニックがあってこそ。低く茂る株元を中心に、長く伸びたつるを放射状に配し、つるの先端が地面に着地するように、ヒモでつるを引っ張って固定することで、バラが流れるような風景をつくり込んでいます。


誘引作業の苦労を軽減し、思い描いた景色にコントロールできるようにと選ばれたバラは、どれもトゲがない品種です。また、花茎が短い性質なので、形作った株姿に沿って花が咲き揃います。

‘群舞’と‘群星’は親子品種のため性質がよく似ていて、開花時期も同時なので、白と淡いピンクの優しい花景色になります。なお、冬から初夏にかけて株の中心付近に伸び出たシュートは、開花前に切り取りシュートが花を隠さないように調整しています。

Type 6 「古都の庭」壁に花を描く‘春咲小紅’


古都を思わす腰板壁に優雅に伸びるつるの動きと、鮮やかな赤花が絵画のような一角。まんべんなく壁を覆わずに、不規則かつ、あえて隙間をつくるように誘引することで生まれる景色です。

ところどころに打ってあるピンの突起につるを留め付け、扇状に配置。ピンがない場所は、つる同士を結んで固定するのも留め付けの方法の一つです。毎年新しいシュートがよく伸びる‘春咲小紅’1株で、約2×2mのバラのスクリーンが作れます。


‘春咲小紅’の斜向かいの壁に誘引されている‘花小紋’も、同様に壁を彩るよう誘引されていますが、ひとつテクニックが隠れています。

一見、‘春咲小紅’と同様に扇形につるが誘引されているようですが、株元付近に花が咲きにくい品種の性質をフォローするため、古い枝に新しいシュートが添えられています。


古い枝は上方に花が咲く枝があるため、切り取ることはできません。しかし株全体になるべく花を咲かせたいことから、新しい枝を沿わせることにしました。こうしてバラの性質を理解して、誘引の方法を工夫することで理想的な風景の演出が叶います。
Type 7 「ウェルカムガーデン」の赤いガゼボ

園内に入って誰もが思わず「わー!」と感動の声を上げてしまうのが、「ウェルカムガーデン」の真っ赤なガゼボです。水盤の真上を覆うように作られた木製のフレームにまんべんなく花が咲くよう、冬の誘引を丁寧に行ったことで叶う花風景です。

ここでの誘引のポイントは、横にわたる梁に対して、上側と下側に沿わせていること。下側に沿わせたつるからは、垂れ下がって花が咲き、水鏡に映る様子も美しく見えます。また、奥に見える「ピースフルガーデン」を切り取る額縁のような効果もあります。

上側に沿わせたつるは、遠くから見た時に赤バラがガゼボを縁取って見えるようにという意図で誘引されました。

真っ赤なバラが印象的なつるバラ‘ゾマーアベント’は、枝がしなやかで伸長力があり、耐病性にも優れる返り咲きのランブラー。大型の構造物を覆うにはピッタリの品種です。温暖な地域では色彩の冴えが今一つですが、あやせローズガーデンでは鮮明な赤色で咲きます。
Type 8 「古都の庭」真紅の天蓋 ‘伸’

11のエリアの最後に待っているのは、 日本庭園のイメージでつくられた「古都の庭」です。白い塗り壁に引き立つように余白を生かして植物が配置され、花札に出てくる日本の植物が多数コレクションされています。藤棚を思わせる棚には遅咲きの赤いバラ‘伸’が誘引されていて、雅な景色が演出されています。



ここで意識しているのは、密に編み込むような誘引はしないこと。葉が茂り、つぼみが膨らんできたころ、重みで格子の下に自然と垂れるようにと意識しています。もし葉が密に茂ってしまうと、枝葉が絡まり合って枝垂れず、花が上に咲いて下から眺めても花が見えなくなってしまいます。なお、この誘引作業は、前年に茂ったつるを外し、つるを整理してから誘引するため、2人がかりで2日かかる大仕事です。


赤い天蓋を彩るのは、樹高3m、真紅の小輪花が房になって咲くつるバラ‘伸’。枝がしなやかで伸長力があり、トゲが少ない返り咲きのランブラー。格子からこぼれたように枝垂れ咲く姿も優雅。

プロが教える「つるバラ誘引」3つのポイント
1. 枝はできるだけ横に倒す

枝を横向きにすることで、枝の途中から花芽が出やすくなります。
2. 古い枝と若い枝を整理する

花が多く咲くのは若い枝なので、勢いの弱くなった古枝を整理し、若い枝に更新します。ただし樹勢が衰え、古い枝しかない場合は、古い枝を大事に残します。
3. 景色をイメージして枝を配置する

アーチなら左右から均等に、壁面なら扇状に広げるなど、春の景色をイメージして誘引します。
