◆摘発強化の裏で高級住宅地・目黒区に黒い影……

そんな違法メンエスが、東京の高級住宅地・目黒区で増えている。なかには実態は無人管理の民泊だが、旅館業の営業許可を受けた“名ばかりホテル”や、許可さえ得ていない闇民泊で営業する店もあるというのだ。摘発を逃れるため、場所を転々とするのに都合がいいのだろう。メンエスの住所は「○○駅徒歩3分」「目黒区○○2丁目」などとボカされており、予約して初めて、「ルーム」の場所が明かされる。これも摘発対策と見ていい。
住所の情報提供を受けた記者がまず訪れたのは、都内でも屈指の人気エリア・中目黒。駅から徒歩5分ほど、大手デベロッパーが手がけた新築の高級マンションだ。本当にここでメンエスが営業しているのか。だが、店のHPにある「駅チカ」「新築高級マンション」の文言と重なる。予約の電話を入れ、住所を聞き出すとまさにここだった。闇民泊ではなかったが、こんな高級マンションにもメンエスは入り込んでいた。
この物件ほど高級ではないが、中目黒には違法メンエスが入居するマンションが多い。風俗店経営に携わり、業界事情に詳しい千葉礼音氏は、こう明かした。
「メンエスの7割は性風俗店で、大多数は住居用の賃貸マンションを借りてモグリで営業している。もちろん違法ですが、住宅街でも営業できてしまう。近年、風俗は過当競争で、風俗コンサルの指南で競合が激しい繁華街を避けて、あえて住宅街で商売する店も増えてます。さらに中華マネーが都内の不動産を買い漁っており、中国人のマンションオーナーにすれば、メンエスだろうが賃料が入ればいいので黙認している状態。こうしてメンエス営業の“許可物件”が続々と増えているのです」
◆「騒がないように」店が客に注意する理由
メンエス愛好者ゆえに度を越した営業を懸念し、今回、情報を提供してくれた夜神勃人氏は、実態をこう話す。「目黒区は閑静で安全な住環境を求めて暮らす人が多いのに、引っ越したマンションにメンズエステが入っていたら、平日休日を問わず、不特定多数が深夜まで出入りする。そんなメンエス店が“施術”を行うルームが、私の知る限りでは、目黒区に少なくとも150室はあります」
住民はたまったものではない。中目黒のメンエスと同じフロアに暮らす30代の主婦は、悲痛な声を上げた。
「住居用賃貸なので店舗営業はできないのに、深夜にBGMらしき音楽や、外国人女性と男性客の話し声が漏れてきて……。小さな子供がいるので何かあったら心配ですが、事を荒立てるのも気が引けて警察には通報してません」

「性的サービスが提供されていたという証拠がなければ、警察は動けない。ファミリー向けマンションの住人から『不特定多数がマンション内に出入りして不安」などの相談も寄せられているが、違法営業であっても問題が顕在化しにくいのが実情です」
メンエス側も予約の電話やSMSで「マンションの前で騒がないように」「インターホンを鳴らさず、そのまま入室してください」「入室時、セラピストと話さないように」などと客に求める店が多い。もちろん、近隣住民への配慮ではなく、通報を恐れているにすぎない。ただ皮肉にも、こうした店側の対応が、より問題を見えにくくしているのも事実だ。


