
しかし、そこには想像以上に複雑な事情が潜んでいるケースも。今回は、実際に勤務時間中にビデオBOXを利用していた当事者たちへの取材をもとにその実像に迫った!
◆週3回以上、昼食代を削って…
「勤務時間中にビデオBOXへ入ることに抵抗感はないですね」そう語るのは、福岡でルート営業の仕事をしている田中弘毅さん(仮名・20代)だ。平日の昼間、多い週には3回以上ビデオBOXを利用しているという。
「外回りの仕事なのですが、お客様と仲を深めるために世間話や趣味などの雑談をすることが多く、一件にかかる時間がまちまちなんです」
日によっては、数時間単位でスケジュールに空きができることも。その時間を埋めるべく、ビデオBOXへ向かうのだった。
「上司も似たような感じなので、基本的に突っ込まれることはないですね」
会社から電話がかかってきたときは「運転中なので」と誤魔化し、県内を幅広く移動するルートの性質上、居場所を疑われることもなかった。
田中さんがビデオBOXでの時間潰しに行き着いたのは、金銭的な事情がきっかけだった。
もともとは真っ昼間からオトナのお店を利用していたが、若手社員の給料では続かなかった。そして辿り着いたのがビデオBOXだった。
「会社に経費として出せるわけがないので、昼飯代を削っていますね」
最初こそ罪悪感があったというが、今はそれもない。
「個室の中では、性欲の処理や急な仕事の対応、昼寝など何でもできるので、便利なところを見つけたなって。ビデオBOXは最高なので、やめられないと思います」
◆管理職が個室に逃げ込んだ理由
一方、まったく異なる動機でビデオBOXへ通っていたのが、安室玲さん(仮名)だ。かつてサービス業で店舗責任者を務めていた安室さんは、現在はその仕事を離れているが、当時を振り返って「罪悪感はありました。でも、あれは完全に心の避難行動だった」と言い切る。
「朝から晩まで接客に追われ、昼食も立ったまま5分で流し込む日々です。クレーム対応、スタッフの教育、売上管理。“笑顔でいなきゃいけない”とか“店の空気を壊しちゃいけない”というプレッシャーが積み重なったある日、店の外の雑居ビルに掲げられたビデオBOXの看板が目に入ったんです」
安室さんは「30分だけ……」と自分に言い聞かせながら中へ入った。薄暗い個室に腰を下ろした瞬間、「胸の奥がじわっと緩んだ」と話す。
「誰にも見られない、笑顔をつくらなくていい、声を張らなくていい。ただ無言で座っているだけで許される空間。ほとんどの時間は、ただぼーっとしていました。休憩するというより、逃げ込む感覚でしたね」
利用頻度は週1〜2回、多いときはそれ以上。滞在時間は30〜60分。その間、店は他のスタッフに任せていた。管理職という立場上、厳密な時間管理はなかった。「仕事の合間にビデオBOXで休んでた」と言えば誤解されるのは明らかなので、スタッフに詳しくは説明しなかったが、戻るたびに文句を言われていたという。それでも、やめられなかった。
「もっと早く誰かに相談すればよかったんですが、当時はそんな余裕すらありませんでしたね」

