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「あんたの金で食べる肉は、ちっとも美味しくない」高級焼肉をご馳走した〈月収10万円〉40歳長男の誤算。68歳母から突如として“実家出入り禁止”を食らった事の顛末【FPが解説】

「あんたの金で食べる肉は、ちっとも美味しくない」高級焼肉をご馳走した〈月収10万円〉40歳長男の誤算。68歳母から突如として“実家出入り禁止”を食らった事の顛末【FPが解説】

近年、成人後も経済的に自立しきれず実家に依存し続ける子どもと、それを支え続ける親の関係が社会問題となっています。子ども側にも事情があるとはいえ、親への金銭的依存が長期化すると、「8050問題」に代表されるように親子ともに窮地へ陥る可能性も……。本記事では鈴木親子(仮名)の事例とともに、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が「親子同居」に潜む危険性とその対策について解説します。※本記事は実話をベースに構成していますが、プライバシー保護のため、個人名や団体名、具体的な状況の一部を変更しています。

「いつか立ち直ってくれる」…息子を信じ続け10年

鈴木健太さん(仮名/40歳)は、都内の有名私立大学を卒業後、大手IT企業でシステムエンジニアとして働いていました。しばらくは順調な社会人生活を送っていたものの、過労と職場の人間関係によるストレスから30歳手前で心身のバランスを崩し、退職を余儀なくされます。

実家へ戻った健太さんは、当初フリーランスのエンジニアとして在宅で仕事をしていこうと、ホームページの作成や、業務委託の開発案件の受注を目指しました。

しかし、前の会社では営業経験もなく、人脈もほとんどありません。クラウドソーシングやマッチングサービスを利用しても単価の低い案件がときどき入る程度で、生活できるほどの収入にはなりませんでした。

そこで健太さんは、エンジニアの仕事だけで生計を立てることを諦め、地元の食品工場でパート勤務を始めました。週20時間ほどの勤務で、月収は10万円前後です。

そんな生活を送る一方で、健太さんには好きなアイドルグループがいました。ライブやイベントがあれば遠方まで足を運び、グッズも欠かさず購入します。少ない給料はこうした「推し活」費用に消えていき、生活費はずっと実家任せでした。

共働きだった両親は、すでに年金生活に入っています。母の和子さん(仮名/68歳)は何度も「少しは生活費を入れてほしい」と伝えましたが、健太さんは「いまは余裕がない」と答えるばかりで、生活費の負担には消極的でした。

和子さんは、「いつか立ち直ってくれる」と信じて見守り続けていましたが、その“いつか”は10年以上経っても訪れませんでした。

「臨時収入」で親孝行のつもりが…母が突きつけた“最後通告”

そんな生活を続けていたある日、健太さんに思わぬ臨時収入が入りました。繁忙期のため、会社から特別手当が支給されたのです。いつもより手取りが10万円近く増え、普段の倍以上の給料を手にした健太さんは、少し裕福になったような気分になっていました。

「たまには親孝行でもするか」

そう考えた健太さんは、両親を焼肉店に連れていくことにしました。そこは、一人当たり2万円近くする高級焼肉店です。自分を支えてくれている両親へ感謝の気持ちを表したつもりでした。

しかし、健太さんに連れられ浮かない顔で店に入った和子さんは、メニューを見てもだんまり。そして肉が運ばれ、一口食べたあと、ぽつりと言いました。

「あんたの金で食べる肉は、ちっとも美味しくない」

健太さんは耳を疑いました。(せっかく奮発して連れてきたのに、なぜそんなことを言われなければならないのか)。和子さんは、静かに続けます。

「このお金があるなら、家に入れてよ……。私たちがうれしいのはおいしいお肉じゃなくて、あなたが一人で生活できるようになることなの」

和子さんにとって、高級焼肉は「感謝の証」ではなく、的外れな自己満足にしか思えませんでした。年金生活のなか減り続ける預金に不安を隠せないなか、40歳になっても生活費を負担せず、自立の見通しも見えない息子に、和子さんは苛立ちを隠せません。

焼肉の席はやがて親子の口論へと変わり、そして和子さんは「最後通告」をしたのです。

「3ヵ月だけ待ってあげるから、そのあいだに部屋を探しなさい。それまでは家にいてもいいけど、その後は戻ってこないでちょうだい」

健太さんは言葉を失いました。これまで喧嘩になることは何度もありましたが、まさか自分が家を追い出されることになるとは夢にも思っていなかったのです。

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