親子同居の長期化に潜む「金銭依存」問題
成人後も親と同居すること自体に問題があるわけではありません。
たしかに子どもにとっては住宅費や生活費が節約できるほか、親にとっても生活費の軽減に繋がるなど、双方にメリットがある場合もあります。しかし、自立する意思や見通しがないまま、親の支援を当然のものとして受け続けることは問題といえます。
人間関係で傷つき、社会復帰に時間がかかることはありますし、一定期間療養が必要なこともあるでしょう。しかし少なくとも、自分が消費する食費や光熱費の一部を負担して誠意をみせるなど、自立に向けて行動する姿勢は必要です。
また、高齢の親は収入源が限られるうえ、介護費用や医療費といった将来の支出が控えています。親の老後資金を取り崩し続ければ、そのしわ寄せは最終的に子ども自身へ返ってきます。なかには、親の死後に生活が立ち行かなくなり、年金の不正受給に陥るケースもあるようです。
高価なご馳走の前に、日ごろからコツコツ親孝行を
総務省統計局の「令和2年国勢調査」によると、50歳時点で未婚の人のうち、男性の約3割、女性の約2割が親と同居しています。また、内閣府「令和7年版高齢社会白書」でも、高齢者世帯の単身化や家族構成の変化が進み、親子間の経済的依存が課題として指摘されています。
今回の事例は、単なる親子喧嘩ではありません。和子さんは、自分たちの老後以上に「親亡き後の息子の人生」を恐れていました。自立への姿勢や感謝の気持ちが見えなくなったとき、親子関係は少しずつ歪みはじめます。
高価なプレゼントやご馳走の前に、普段から親に負担をかけない努力を続けることがなによりの親孝行といえます。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
