技術力はもちろん、資本構造や資金調達の巧拙が将来を左右する
ABは、AIの発展段階を大きく2つに分けています。第1段階は「計算能力(GPUなど)の確保」が中心でした。一方、今後の第2段階では、「いかに効率的に資金を調達し、それを有効活用できるか」が競争の軸になります。つまり、単に設備を持つだけでなく、それを収益に結びつけるための財務戦略が問われる時代に入ったのです。
このため、投資家の視点にも変化が求められます。これまでは「希少な資産を持つ企業」が評価されましたが、今後は「資本効率の高い企業」、すなわち同じ投資でより高いリターンを生み出せる企業が評価される可能性があります。具体的には、AIによって生産性を高め、コストを下げ、持続的な収益モデルを構築できるかが重要になるということです。
さらに重要なのは「需要」です。どれほど大規模なインフラを整備しても、それを実際のサービスやビジネスとして収益化できなければ意味がありません。今後は、AIの計算能力を実際のユースケースや顧客価値に転換できる企業が、より高く評価されると考えられます。
総じて、AI市場はこれから「選別の時代」に入ると予想されます。豊富な資本がある中でも、効率的に運用できる企業とそうでない企業の差は広がっていくでしょう。技術力だけでなく、資本構造や資金調達の巧拙が、企業の将来を左右する重要な要素となります。
一般投資家にとっては、単にAI関連銘柄という理由で投資対象を選ぶのではなく、「その企業がどのように資金を調達し、どのようにリターンを生み出しているのか」という点に注目することが、今後ますます重要になるでしょう。アルファベットの動きは、AI投資の次のステージを示す重要なヒントと言えそうです。
穂谷 栄一郎
アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
