「変動金利一択」の空気に飲み込まれた
2021年当時、住宅ローンを取り巻く環境は現在とは大きく異なっており、SNS上では「固定金利は損」「変動金利一択」「住宅ローンは借りられるだけ借りたほうが得」という情報が溢れていました。
住宅会社の担当者も同じように「固定金利は高いですからね」「みなさん変動金利を選ばれています」「変動金利が上がったら固定金利に借り換えればいいですよ」と説明していました。
周囲で住宅を購入した友人たちも変動金利を選んでいたため、「それなら変動金利で心配ないだろう」と、Aさんもそう考えるのは自然な流れだったのかもしれません。
こうしてAさんは、変動金利0.65%、借入額5,800万円、40年返済で住宅ローンを契約しました。
住宅ローン契約後には、担当者から「住宅ローン減税がありますから、繰上げ返済はしないほうがお得ですよ」「手元資金は残しておいたほうがいいです」とアドバイスを受けました。
Aさんも「住宅ローン減税はローン残高が大きいほうが得だし、繰上げ返済などは余裕ができたら考えればいい」と納得でした。
しかし、そもそもAさんにはライフプランという概念がなく、将来子どもが増えたり、妻が働けなくなったり、金利が上昇したりといった、家計に直結する人生における「お金のシミュレーション」などは考えたこともありません。
住宅購入時の関心は「どんな家に住むか」だけで、「40年間どのように返済するか」ではなかったのです。
5年後に訪れた悪夢…金利上昇で返済額は「月18.5万円」に
住宅購入から5年が経過し、Aさんは33歳になり、第二子も誕生しました。妻は子育てに専念するため退職し、世帯月収は購入当時の45万円から35万円へ減少しました。
しかし、食費や子どもの教育費、光熱費や保険料など支出は増える一方。以前は余裕があった家計も、少しずつゆとりがなくなっていました。
そんなある日、金利上昇のニュースが気になり、ご自身の住宅ローンを確認してみると、金利は契約時の0.65%から1.225%へ上昇していました。
不安になったAさんは、住宅ローンのシミュレーションをしてみましたが、6年目からの返済金額は15.2万円、さらに毎年0.25%ずつ金利が上がった場合、11年目の返済金額は18.5万円にもなる結果を知りました。
