キャッシュレス時代に逆行する流れ
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Amazon Go*、Sweetgreen、Shake Shackなど複数の大企業では、現金決済を廃止する取り組みが行われてきました。そんな流れの中で、一時は「キャッシュレス決済のみ受け付け」というポリシーの店まで出現するほどでした。
・最先端の“完全キャッシュレス実験”だったが、採算や社会的要請の壁にぶつかり、2026年1月に全店舗閉鎖
そのような時代に待ったをかけたのは、行政でした。
ニューヨーク市は2020年、原則として小売店が現金の支払いを拒否することを禁じました。
これにより、現金決済を廃止する取り組みを推し進めてきた大手のファストフード店などでは、キオスク(セルフオーダー)端末による無人決済と、従来通りのカウンターでの対応という、複数の支払い手段を併存させる形が一般化しています。
違反店には1000ドル(約16万円)の罰金が科せられます。ただしいくつかの例外が設けられ、店側は20ドル(約3200円)を超える紙幣の受け取りを拒否することが可能です。偽札対策が強いという事情も関係しているのでしょう(50~100ドルの高額紙幣拒否の理由は、偽札への警戒に加え、釣り銭不足、防犯対策など複合的)。
ABCニュースの記事(2020年1月23日付)に「前年(2019年)にフィラデルフィア、サンフランシスコ、ニュージャージーでも同様の法律が可決した」とあります。マサチューセッツでの取り組みは早く、似たような法律は1978年に可決したそうです。
この動きは次に、2026年3月にニューヨーク州全体に広がりました。新法により州全体で、企業が現金での支払いを拒否することを禁じたのです。加えて消費者が現金払いを選んだ際に、企業は割増料金を請求することも禁じています。
違反店は、初回で最大1000ドル(約16万円)、再犯で最大1500ドル(約24万円)の罰金を科される可能性があります。
このような法律の可決は「消費者は自らの支払い方法を選択する権利を持つべき」という考えに基づいていて、背景には「銀行口座やクレカを持たない人(高齢者、貧困層、移民)への配慮」という理念もありそうです。
アメリカではどのくらい現金決済され、どのくらいの人が銀行口座やクレカを持っていないのかを調べたところ、「全米のビジネス決済の30%は現金で行われている。約1400万人が銀行口座を持っていない」という記事(2020年1月25日付アクシオス)を見つけました。
FRB(連邦準備制度理事会)の最新の報告(2025年)でも、現金決済は「件数ベースで全体の14%を占める」とあります。
2024年のFDIC(連邦預金保険公社)の報告でも、その前年の時点で、全体の4.2%にあたる560万世帯が銀行や信用組合の口座を持っていない、つまり依然として口座を持たない世帯が存在する実態が浮き彫りになりました。
これらのことから、「アメリカは急速にキャッシュレス化」というのは間違いではないですが、キャッシュレス化が一直線に進んでいるわけではなく、「まだ現金が残る国」として、現金は今後も一定程度、使われ続けていくものと考えられます。