家電市場は緩やかに縮小へと向かっており、仕入れの統合などスケールメリットが必要な時代に入っていました。今回の再編は両社の大胆な生き残り策だと見ることができます。
注目はプライベートブランド(PB)家電の行方。ニトリはエディオンの大株主であり、すでに共同開発体制を敷いていました。

◆ニトリの格安ドラム式が与えた衝撃とヤマダの追撃
日本の家電メーカーが繁栄を謳歌していた時代が終焉を迎え、量販店の売場には海外メーカーや新興メーカー、小売店のPBなど、多種多様な商品が溢れるようになりました。これまでの家電は国内メーカーの強力なブランド力にコーティングされ、消費者は名のあるブランド同士を比較検討するのが当たり前でした。しかし、東芝やシャープ、富士通などの名門メーカーが外資系企業の傘下に入ると、ブランド信仰に陰りが見え始めました。
そうした中、サムスンやLG、ハイアールなど海外ブランドの高品質かつ低価格な商品が国内市場に浸透。さらに、バルミューダのような新興メーカーが、デザイン性を重視した製品を送り出して人気を博しました。
インフレによる消費者の節約志向が高まると、小売店が低価格なPBの開発に力を入れるようになりました。世間を驚かせたのがニトリのドラム式洗濯乾燥機。2024年に10万円を切る価格で本格的なスペックの洗濯乾燥機を発売しました。
ニトリは成熟しつつある家電市場から事業領域を広げており、2020年にホームセンターの島忠を買収。2022年に住宅設備大手LIXILが保有していたエディオンの株式8.6%を取得していました。ニトリはエディオンと提携することにより、PB家電の共同開発や、開発した商品をエディオンの売場で販売するという、販売チャネルの多角化に成功したのです。
ニトリの背中を追うように、PB家電の強化を図ったのがヤマダでした。オリジナルブランドの「RORO(ロロ)」から2025年4月にドラム式洗濯乾燥機をニトリとほぼ同じ価格で発売したのです。2026年には各PBブランドを統一し、「YAMADA Products(ヤマダプロダクツ)」として打ち出し、SPA商品戦略の強化を図りました。
◆エディオンの先手を打ったPB戦略とニトリの苦悩
エディオンは2018年11月に独自ブランドの「e angle(イー・アングル)」を立ち上げていました。デザイン性の高い商品に強みがあり、売れ行きは好調。2024年度の販売台数はニトリとの共同開発商品を除いて前年比で3.7倍に拡大しています。エディオンの久保允誉会長はヤマダとの経営統合を発表した6月5日の会見で、「PBの研究開発が一層進む」とコメントしました。経営統合の狙いの一つに、PB商品の共同開発や2社の売場を活用することによるシェア拡大があるようです。
ニトリとの関係について、エディオン側はこれまで通り取引をし、理解が得られるよう説明を続けるとしています。しかし、ニトリにとっては頭の痛い問題でしょう。
ニトリの足元の状況は厳しさを増しています。2026年3月期の売上は前期比1.8%減の9122億円。ニトリ単体では減収減益でした。この期の既存店の客数は前期比7.2%減少、3.2%客単価が伸びているものの、売上げは4.2%落ちました。客数の減少を客単価で補いきれていません。1年を通して、客数は一度も前年同月を上回ることがありませんでした。
しかも、期待をかけていたアパレルを扱うNプラス事業も不調気味。期首に44あったNプラスの店舗は期末に30まで縮小しています。島忠も減収でシナジー効果が思うように生まれていません。
主力の家具だけでなく、アパレルやホームセンターも低迷しているとなると、必然的に家電へと力が入ります。しかも、洗濯機の売れ行きは好調で、2025年度の売上は前年の2倍に増えているのです。ヤマダとエディオンの経営統合はニトリを牽制するかのような動きでもあり、今後の出方には注目が集まります。

