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AIに作らせた資料が“ちっとも頭に入らない”のはなぜ?米名門大学がAIを「原則禁止」にした本質

AIに作らせた資料が“ちっとも頭に入らない”のはなぜ?米名門大学がAIを「原則禁止」にした本質

◆■「AIを使う力」は、どこから来るのか

ここに、ぼくが今回の話で一番面白いと思った逆説があります。

AIの答えが「使えるかどうか」を判断するには、その分野について自分で考え続けた時間が必要です。弁護士で言えば、AIが出してきた判例の引用が正しいかどうかを見極めるには、法的な文脈を自分の頭で理解している必要があります。

シアトルの職場でも同じことが起きています。AIが出してきた提案を「あ、いいですね」と承認する人と、「この前提はおかしい」と指摘できる人の差は、AIのスキルの差ではなく、その仕事について自分の頭で考えてきた経験の差です。

電卓に例えればわかりやすいかもしれません。電卓は便利な道具ですが、そもそも足し算や掛け算の概念を知らない人が電卓を使っても、答えが正しいかどうかを確認する術がありません。AIも同じで、使いこなせる人というのは「AIに仕事をさせるのが上手な人」ではなく、「AIが出した答えを評価できる人」のことなのかもしれない。

つまり、AIを使う力の源泉は、AIを使わずに考え続けた時間にある。これがバークレーの言っていることの本質だと、ぼくは解釈しています。

「AIを活用できる人材を育てる」という言葉が日本でも増えました。研修を入れ、ツールを導入し、業務フローを変える。それは大事なことです。ただ、もしAIをうまく使いこなせる人間を育てたいなら、AIなしで考える時間も同じくらい大事なのではないでしょうか。どのツールを導入するかという議論は盛んでも、「考える力をどう育てるか」という問いが後回しになっていないか、少し気になります。

AI時代に価値が上がるのは、AIに答えを出させる人ではなく、AIが出した答えを評価できる人なのかもしれない。そしてその力は、AIを使わずに考え続けた時間からしか生まれない。バークレーが言っているのは、そういうことではないかと思います。

あなたは最近、自分の頭だけで考える時間がありましたか?<文/福原たまねぎ>

【福原たまねぎ】
シアトル在住。外資系IT米国本社のシニアPM。ワシントン大学MBAメンター(キャリア・アドバイザー)。大学卒業後にベンチャー企業を経て2016年に外資系IT企業の日本支社に入社。2022年にアメリカ本社に転籍し現職。noteでは仕事術やキャリア論など記事を多数発表。初著書『世界の一流が休むためにやっていること』(朝日新聞出版)が発売中。X:@fukutamanegi
配信元: 日刊SPA!

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