◆死の恐怖よりも「仕事はどうなる?」
――どういう経緯でがんが見つかったのですか?
「近所に住んでいた日本人のおばさんが乳がんになったんです。触ったらわかるらしい、と聞いて自分の胸を触ってみたら、まさにしこりがありました。病院で診察をしてもらったら『がんじゃない』と断言されたのですが、しこりを摘出した後、経過観察で病院に行ったら、やっぱり『がんです』と言われました。しこりはとったけど、ミクロ単位の細胞で転移があるかもしれないとのことで、両胸を全摘出する、と……」
――その時の心境は?
「現実感がなくて、ヘラヘラしていましたね。そのまま『仕事に行ってきまーす』って撮影に向かいました。深刻な事態だと理解はしていたのですが、認めたくなかったんです。それに、私にとっては、死の恐怖よりも『仕事はどうなる?』の方が先でした」
――摘出した後に、すぐに再建手術を行ったとか。
「そうです。全部とって、すぐに入れました(笑)。正直、入れないという選択肢はなかった。仕事がしたかったから、ということではなく、私にとっては当たり前のことだったんです。幸い転移はありませんでしたが、再建手術は何回か繰り返しました」
――その間はさすがに休業したんですよね?
「術後の療養期間は1ヶ月くらいでした。日本ならそのうちの1週間くらいは入院するはずなのですが、アメリカでは1泊で退院。それ後は病院からナースが自宅に派遣されるんです」
――だいぶ日本とはシステムが違うのですね。
「それでもドレーンの取り換えとか、自宅で管理するのは本当に大変でした。そんな中で私を支えてくれたのが、いま横にいるパートナーのクリスなんです」

「アメリカのポルノ男優です。でも、仕事を通じて知り合ったわけではないんですよ。向こうで車が壊れたときに、友達が修理業者を呼んでくれたのですが、その業者さんと一緒にきたのがクリスだったんです。業者さんとはイトコという続柄でした(笑)」
――そんなシチュエーションで同業者に出会うことってあるんですか!?
「それより前にも、どこかのパーティーで会ったことがあるみたいなのですが、私は思い出せず(笑)。でも、もう10年くらいずっと一緒にいるんですよ。日本滞在中は、私の実家に一緒に泊まっています」
――親御さんも公認のパートナーなんですね。
「最初はビックリしていましたけどね。でも、遠いアメリカで乳がんを患った私のそばには、ずっとクリスがいてくれたから。クリスのおかげで孤独な闘病生活にならなかったことを、うちの親もすごく感謝しているみたいです」
◆ずっと、カメラの前で何かができる存在でありたい

「コロナ禍以降、OnlyFansなどのソーシャルメディアサービスで動画を配信する女優が増えました。アメリカのポルノ業界では今はOnlyFansが正義なんですよ。監督やスタイリストは女優が直接雇うようになりました。スタッフはメーカーではなく女優に営業をかけていて、メーカーはどんどん潰れているのが現状です」
――雇用形態が、もともと日本とは違ってエージェント制ですもんね。
「もはやエージェント契約を辞めている子も多いですよ。OnlyFansを始めてみたら、なぜ自分が稼いだお金をエージェントにとられないといけないのか?と疑問に感じるようになったのでしょうね。今後もこの流れは続いていくかもしれません」
――まりかさん自身の今後の目標は?
「ラスベガスで行われるAVN(アダルト・エンターテインメント・エキスポ)で、殿堂入りすることが目下の目標です。賞はもらっているんですけどね」
――すごい!目標が超ワールドワイド!
「この前、ヨーロッパのアワードにも呼ばれて、レジェンドの境地に降り立ったな~と(笑)。でも、それもあって、そろそろポルノスターとしての終活をしようと思い始めたんですよ」
――引退ということですか?
「すぐにという話ではありません。3~4年かけてゆっくりとやり残したことや、次に繋げていくことを精査しようと考えています。ポルノスターを辞めても、ずっとカメラの前で何かができる存在でいるために」
――ある意味、一生現役宣言ですね。
「読モ時代に『楽しいからカメラの前にいたい。これが私の日常になるといいな』と、思ったことから始まって、今に至っています。ポルノスターとしては『私、もうじゅうぶんやったんじゃない?』って思うので、そろそろ終活。活動拠点も海外のままか日本に戻るかも考え中です。
実は去年、子宮頸がんにもなったんですよね。ステージゼロだったので1時間の手術で終わって寛解もしているのですが」
――待ってください。最後にさらっとすごいことを告白しましたね。
「私の人生、いろんなことがありすぎて小さい出来事のようになってしまった(笑)!」
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>

