中日ドラゴンズからポスティングシステムを利用してメジャーリーグ(MLB)に挑戦していた小笠原慎之介選手が、ワシントン・ナショナルズ傘下2Aハリスバーグから読売ジャイアンツ(巨人)へ入団することが決まった。

この報道に対し、ネット上では中日ファンの嘆きと怒りの声が上がっている。
フリーの立場である小笠原選手の移籍は当然
日本のプロ野球(NPB)では、一軍で9年間(登録日数が145日以上)シーズンを過ごした選手に、国内外どの球団とも自由に契約を結べる「海外フリーエージェント(FA)」の権利が与えられる(国内FAの場合、大卒・社会人出身者は7年、高卒選手は8年)。
ポスティングシステムは、その権利を持たないNPB選手が所属球団の承認を得たうえで、MLBを含む海外のチームからの入札によって移籍する制度だ。
制度上は、NPB球団が保有する選手との独占交渉権(保留権)が金銭で売却されているので、選手がポスティングで他球団と契約した時点で、古巣球団との雇用関係は完全に消滅している「フリー」の立場ということになる。
だが東海大相模高校からドラフト1位で中日に入団して以降、9年にわたって育てた感覚があり、快くメジャーへ送り出したにも関わらず、短期間で帰国して他球団のユニフォームを着ることが、裏切りのように感じてしまうファンの心理も理解できる。
しかし、報道によればそもそも中日側からのオファーはなかったという。
プロである以上、ルールに抵触しない以上、よりよいオファーを受けた球団に行くのは当然と言える。
新庄監督からもクレームがついた「有原式FA」
この小笠原選手の移籍騒動の際に、SNSで目立ったのが「有原式FA」という言葉だ。
有原式FAとは、2020年のオフに北海道日本ハムファイターズからポスティングでメジャーへ移籍した有原航平選手のケースを指す。
有原選手は2021年にメジャーデビューしたものの、華々しい活躍を見せることはできず、2023年の1月に日本球界復帰を果たした。
ところが、復帰先が日本ハムではなく、優勝常連チームの福岡ソフトバンクホークスだったこともあり、ファンからは非難の声があがった(その後、2026年から日本ハムに復帰)。
2024年には上沢直之選手が、同じく日本ハムからポスティングでタンパベイ・レイズ(その後ボストン・レッドソックス)へ移籍し、1年でソフトバンクに入団してしまった。
この動向に対して、新庄剛志監督が「ルールを変えないといけない」と声を上げたことが話題となった。
ポスティングを容認した球団としては、選手がFAでMLBに移籍する場合は、金銭・人的補償は発生しないが、ポスティングの場合には球団には譲渡金を得られるメリットもある。
しかし、自前のスター選手を手放すという大きな血を流したにもかかわらず、それが結果的に短期間で国内ライバル球団の戦力補強に直結してしまうとなったら、たまったものではない。上沢選手の場合はレイズとマイナー契約だったため、日本ハムへ支払われた譲渡金は90万円強だったと報じられている。
また、興行である以上、チームを支えてきたファンの感情も無視できない。
とはいえ、選手としては当然の権利を行使したまでの話でもある。
この溝を埋めるのは、なかなか難しい。