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働く前に知っておきたい、税金と社会保険の話

働く前に知っておきたい、税金と社会保険の話

学校を卒業後、正社員として就職して初めてのお給料日。
「初任給は23万円、まずは何をしよう」とワクワクしながら明細を見たら、実際に振り込まれていたのは19万円程度。4万円はどこに!?と目を丸くした人も多いのではないでしょうか。

学生時代にアルバイトをしていた経験があっても、社会人になって初めて「求人票の給与額面」と「実際振り込まれる手取り」は別物であると知る人も珍しくありません。
それは、収入によって納税額が変わる「累進課税」という税金の仕組みと、勤務時間によって加入条件が変わる「社会保険」の仕組みが関係しているためです。

学生のうちは、親から「バイトで稼ぐのは扶養内の103万までにしてね」と言われて、理由はよくわからないけどその通りにしていた、という人も多いのではないでしょうか。
扶養内の収入・勤務時間だと、各種税金や保険加入の条件に該当せず、額面と手取りにほとんど差が生まれないため、税金を意識することも少なかったでしょう。

今回は、仕事を始める前に知っておきたい税金と保険の種類についてまとめてみます。


■給与から引かれる税金の種類

給与から毎月引かれる税金は、主に「住民税」と「所得税」の2つです。


・住民税
住民税は前年の年収によって納税額が決定するため、社会人になる前にアルバイトをしていない(=収入がない)場合は発生せず、親の扶養範囲内で働いていた時も発生しないケースが大半です。
住民税は所得に10%をかけた金額になるため、仮に親の扶養を超えて働いていたとしても、社会人初年度は少額でしょう。

本題から少しずれますが、この住民税は前述のとおり、「前年の年収によって納税額が決定」するので、「今年も同程度の収入があるかどうか」とは無関係です。
そのため、定年などで退職・転職しても、退職した翌年は前年の給与実績を基に住民税の納付書が届きます。
例えば定年退職前年の年収が1000万の人であれば、扶養家族の有無で多少変動はしますが、毎月5万円前後の住民税が、退職後1年間発生することになります。
年金収入のみの状態で現役時と同じ住民税を賄うのは負担が大きいため、支払いを念頭に準備しておく必要がありますね。
翌年以降は退職後の収入に応じた課税となるため、人によっては非課税になるケースもあり、再雇用などで働いている人も大きく負担は減ります。


・所得税
一方、所得税は当月の給与(所得)に対して課税されます。
前年に確定した所得を基に一定金額が1年間続く住民税と違い、所得税は所得(給与)が低ければ税金も低く、高くなれば比例して上がっていくという「累進課税」という仕組みです。

所得税は当月の所得に対して決まるとはいえ、毎月の残業代などで変動するたびに計算し直していては、給与計算を担当する人への負担が大きすぎます。
そのため、通常は労働契約から想定される年収を基に、あらかじめ所得税を計算・徴収していますが、年度の途中で転職して給与が変わる、転職して無給期間がある、副業を始めて給与以外の所得を得ているなど、当初の想定通りの年収にならない場合があります。
その場合は正しい金額で計算し直す必要があり、その作業が例年10月から11月にかけて行われる年末調整、2月から3月にかけて行われる確定申告です。


■給与から引かれる保険の種類

正社員で働く従業員は、基本的に「雇用保険」「健康保険」「労災保険」「厚生年金保険」「介護保険(40歳以上)」に加入しており、これらを総称して「社会保険」と呼ばれることが多いです。「社会保険」という名称の保険はないのでご注意ください。
求人票で「社会保険完備」と書かれていれば、上記5つの保険すべてに加入できる状態と考えて良いでしょう。

このうち、労災保険は従業員側で何か費用を負担することはありませんが、それ以外の保険については労使折半(雇用者と従業員がそれぞれ費用を出し合う形)となります。

折半する保険料のうち特にインパクトが大きいのが、給与の18.3%が保険料額となる厚生年金です。
月給が23万円だとしたら、約2万2千円が従業員の負担額になります。月給は残業代や勤務状況によって変動する可能性があるため、「標準報酬月額」という32の区分があらかじめ決められており、年度内で月給が多少増減しても保険負担額は変わらないようになっています。

その他、健康保険は業種により10%~12%、雇用保険が5%~6%が月給から徴収となり、月給23万円であれば合計で3万円程度、所得税も合わせると4万円前後引かれた額が実際の手取りとなるのです。
新卒入社の場合は翌年以降、ここに住民票がある自治体の住民税が10%程度加算されることになり、合計5万円程度が引かれることになります。


・適用されない事業所もある
社会保険のうち厚生年金と健康保険は、常時雇用の社員が5名以下、かつ法人化していない一部の小規模事業所は、加入義務がなく任意加入となっております。
前述の通り社会保険は大半が労使折半となっており、事業所も一部費用を負担する必要があるため、強制加入条件を満たすまで経費削減の目的で加入していないところもあります。

その場合、労働者側も給与から天引きされる項目が少ない分、一見すると手取りが増えたように見えます。
しかし、厚生年金に加入できない代わりに自身で国民年金を納付する、国民健康保険に加入するなどといった対応が必要になるため、手続きの手間が増える割に最終的な支出はさほど変わりません。
特に年金は、「国民年金に加えて厚生年金あり」と「国民年金のみ」では、将来受け取る額にも大きく差が出ます。求人票を見るときは社会保険が完備されているかも是非チェックしましょう。


・パートやアルバイトでも対象になる場合もある
社会保険はパート・アルバイトであっても、事業所規模や勤務条件を満たすと加入になります。

・従業員が51名以上
・週の勤務時間が20時間以上
・1ヶ月の給与が8万8千円以上
・学生ではない
・2か月以上の雇用見込がある

2026年6月現在、上記を満たす働き方をしていると、雇用形態に関わらず社会保険の加入義務が発生します。
この条件は段階的に拡大されており、今年度中には1ヶ月の給与条件が撤廃、その後も事業所規模が段階的に少人数でも適用されるようになり、最終的に「週20時間以上勤務する学生以外の労働者」は全員が加入対象となる見込みです。

様々な事情でパート・アルバイトという働き方を選ぶ方は、働く時間を増やしたいと思っていても増やせない方も少なくありません。
社会保険が適用されると最低でも手取りが2万円前後少なくなり、今までと同じ手取りを稼ぐためには相応に勤務時間を増やさなくてはいけなくなりますが、それが出来ない方もいるでしょう。

社会保険は老後に限らず、病気で働けなくなった時や無職期間が出来た時など、将来の備えになりますが、物価高の状況では毎月の手取りを増やすことも見過ごせない問題です。
働く時間を増やした結果、外食や子供の時間外保育で支出が増えて本末転倒ということもあります。どのような稼ぎ方をするのが最適なのか、各家庭で検討する必要があるでしょう。

扶養内での働き方やポイントは、こちらの記事も参照してみてください。
▶扶養の壁とは?年収別の影響や損しない働き方を解説



配信元: アカナビ

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