更年期なのかなんなのか……?
心身ともに人生の中で一番の不調が続いた。そして、ある映画を見て、流産のショックが癒えていなかったことに気づく。
「考えてもしょうがないと思って蓋をしていたんですね。内観しているつもりで見たくないものは見ないようにしていただけだった。それに、離婚のことでもずっと自分を責め続けていました。自分を一番苦しめるのは『罪悪感』だと言われますが、その言葉通りでした」
これまでよりもジャーナリングを深くするようになり、自分の思いを正直にノートに綴り、思考を見直した。そして時間はかかったが、環境を変えて心機一転、再出発地点に立った。
多くの気づきをくれる更年期は感謝する時間
更年期を通過しようとする今、享子さんの心境は、
「更年期もやっぱり、体だけの問題じゃないですね。 更年期って、今まで女性として生きてきた体に感謝する時間で、心身ともにたくさんの気づきを与えてくれる素敵な時間なのかもって思います。50代になって、肌の質感や体のラインなどが若い頃とはあきらかに違いますよね。ホルモンバランスなど、体の内側の変化を知るきっかけにもなりました。同時に今までこの体は私と一緒に頑張ってくれていたんだなと気づいて、体への感謝が生まれました」
年齢にあらがうのではなく、今の自分を楽しむ。体調を整えるためにウォーキングやストレッチなどをマイペースでやる。疲れている時は「今日は休む」と決めて、腎臓を温めて寝る。そして何よりも笑いを大切にしたいと享子さん。
「ご機嫌で今を過ごすこと。そのためには五感に従います。コーヒーの香りや、植物、食べ物、身につける服もそう。心地よいものを五感で見つけたい。一瞬一瞬、心も体も思考も決めつけず変化を楽しみたい。自分と本音で向き合って、周りへの感謝も忘れないように、ほど良きバランスで過ごしたいです」
自分自身の人生を歩みながら、役者としてさまざまな人生のワンシーンを演じる享子さん。最近はCMやドラマで母親役をすることが多いという。
「50代になって、若い頃よりも子どもが可愛く感じられて、ああ、やっぱり子どもが欲しかったな……なんて親子連れや赤ちゃんを見るといつも思います。でも、実際の子どもはいないけど、演技とはいえ、いろんな時代のいろんな子の母親を体験させてもらえるのって本当に幸せで、役者をやっていてよかったぁって思います」
「書く瞑想」とも呼ばれるジャーナリングが享子さんの習慣。
「好きなことや日常の些細な感謝、もやもやすることを書いていくと、自分で気づいていなかった本心やありがたさに気づけます」
気の合う役者仲間を自宅に招き芝居の稽古。この日は享子さんが選んだ戯曲のワンシーンを演じた。役者仲間ならではの共感する話題や近況報告で盛り上がり、それがこれからの仕事の活力となるのだそう。
〜私を支えるもの〜
登山やアウトドアで自然に触れる時間を大切にしている。
都会暮らしでも、室内や散歩の道すがらでも季節の変化を感じるが、やはり、大自然から癒やされることは多い。
「ずっと登山をしてきましたが、最近はソロキャンプにハマっています。一人用のテントを持って、キャンプ場に行きます」
「コーヒーを淹れる時間が癒やしの時です。湯気や香りがいいですよね」という享子さんは大のコーヒー党。しかし飲みすぎないようにしている。
「腎臓に負担がかからないように、朝はハーブティーから始めて、動いた後にコーヒーを飲みます」
日々の疲れは、体を芯から温めるサウナドームで癒やす。「母が更年期で不調だったときに買ったものを、実家に帰った時に使ったことがあって。
不調になった時にそのことを思い出して、私も購入しました」。家にいながら気楽に活用できるのもお気に入りポイント。

聞き手:石田紀佳さん
植物文化研究家。旧池尻中学校を活用してつくられた複合施設「HOME/WORK VILLAGE」の植栽や屋上菜園「ART FARMIKEJIRI」を運営。近著に『エコロジカルスキンケア 一人ひとりが小さな生態系』(薫風堂)草木と手仕事 Instagram:@kusaki_to_teshigoto
撮影/白井裕介 聞き手・文/石田紀佳 編集/鈴木香里
※大人のおしゃれ手帖2026年6月号から抜粋
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