老後は年金にプラスアルファが欲しい。その額は物価上昇に応じて増えていく

とはいえ、国の年金に期待できるのは日常生活費位をもらえる、というところまでです。国が年金で老後の趣味や旅行資金を出してくれるはずがないからです。もし、旅行費用まで国の年金で負担したら、現役世代の負担はもっと重くなってしまいます。
いわゆる「老後に2000万円」というのは、この「年金にプラスアルファ」の部分を指しています。日常生活費だけでは足らない部分、つまり趣味や生きがいの予算です。人生100年時代ですから、毎月5万円程度の生きがい予算も、積み上げると2000万円にもなる、というわけです。
今、この「老後に2000万円」が変化し始めています。というのは物価上昇が起きると、今まで必要だった予算で、今後は同じことができなくなるからです。
旅行にしろグルメにしろ、美術館や映画館鑑賞にしろ、値上がりの傾向は顕著です。遊園地のパスポートチケットの値上がりなどは皆さんも実感しているはずです。
こうした値上げは、物価上昇の時代が始まったことを意味しています。これからも物価上昇が続くとすれば(続く可能性が高い)、10年後あるいは20年以上先には「月5万円」以上必要となるはずです。
仮に、物価上昇が年2%ずつ続いたとしたら、今30歳の人は現在の人の「老後に2000万円」と同等の余裕を持つために、65歳には「老後に4000万円」が必要となります。その頃には今と比較してほぼ2倍に物価も上昇しているからです。
今40歳の人の65歳の頃は、同じ計算で「老後に3281万円」となります。これも物価が今の1.6倍位になっているためです。
この数年のように物価が3%以上上がる時期が続くと、もっと必要になるかもしれません。
なお、国の年金額は物価上昇にある程度追いつく仕組みがありますので、日常生活費の不足というよりは「老後の余裕資金づくり」に主眼を置いて老後に備えていくといいでしょう。

「老後の推し活予算確保」考えて、ちょっとずつ投資をしていきたい

老後のことを過剰に不安がる必要はありません。公的年金は老後が何十年に及ぼうとももらい続けることができます。基本的な日常生活費をまかなう水準は維持されることでしょう。
「会社員として厚生年金保険料をリタイアまで納め続けた人」は基本的な老後のやりくりに心配はありません(夫婦ならなお安心。シングルならやや不足)。
その上で、「老後も推し活するぞ!」のようなイメージで、趣味や娯楽のための予算確保を考えてみてください。
会社員の多くは退職金や企業年金がありますから、ある程度の準備が進行中です。そこにNISAやiDeCoで少しずつ積立をしていけばしっかり老後資金の確保ができるでしょう。
物価上昇率以上のペースでお金を増やしたいと考えた場合、投資の力を借りることが効果的です。
NISAあるいはiDeCoに対して、30歳から65歳まで35年間積み立てていったとします。最初は毎月2万円、5年ごとに月0.5万円ずつ積立額を増やしていくと、35年後には利息ゼロでも1470万円が貯まります。
このお金が投資信託などで年4.0%の利益を生み出したとしたら最終的には2845万円です。これに退職金や企業年金を加えれば、老後の心配はかなり小さくなるはずです。
なんとなく、老後の不安解消のためには年間100万円あるいはそれ以上の投資をしなければならないようなイメージがありますが、実は月2万円くらいの積立投資で大丈夫です。月1万円がギリギリなら、ボーナスごとに6万円を入金すれば平均して月2万円になります(月0.5万円、ボーナス月9万円でもいいでしょう)。
