それでもカルテルが破られる場合は泥沼に
上記のようにカルテルがうまくいく場合もありますが、何らかの拍子にどちらかが約束を破ると、泥沼になる可能性もあります。
たとえば離島にガソリンスタンドが2店ある場合、相手より1円安く売って相手の客を奪おうとするかもしれません。そうなると客を奪われた側が2円値引きをして、客を奪い返そうとするかもしれません。お互い値引き合戦を繰り広げて、赤字になっても値引き合戦は続くでしょう。客を奪われたままで傍観しているわけにいきませんから。
最後は、「相手が倒産すればわが社は独占企業になって大儲けができるのだから、歯を食いしばって頑張ろう」とお互いが思うようになるかもしれません。
牛丼チェーンの安売り競争ならば、ラーメン店から客が流れてくることも期待できますが、離島のガソリンスタンドではそうしたことが期待できないので、死闘が繰り広げられるかもしれませんね。
家電量販店の「最安値宣言」はライバルへの脅し
読者は家電量販店の「わが社は最安値を保証します。当店より安い値段の店を見つけたら、チラシを持ってきてください。その値段まで値引きします」という広告を見たことがあるかもしれません。「客に優しい店だ!」と感心したかもしれませんが、実はそうでもないのです。
ライバル店のスパイがその広告を見ると、「わかってるだろうな。お前が値引きしたら、俺は必ずお前と同じ値段まで値引きする。値引きして俺から客を奪おうなんて考えるんじゃないぞ」と読めるわけですね。
ところで、そうした広告は家電量販店では見かけますが、牛丼チェーンでは見かけません。なぜでしょうか。それは、家電量販店で売っているものは同じなので価格比較が容易ですが、牛丼は店ごとに品質が異なるので「最安値か否かの比較が難しい」からなのですね。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
