日本人を待ち受ける生活苦と、社会保障の限界
なぜ、これほどまでに高齢者からも税金や保険料を集めなければならないのでしょうか。その背景には、日本が直面している深刻な少子高齢化の構造問題があります。
現在、日本の高齢化率は3割に迫る勢いで上昇を続けており、将来的には2040年に35.3%、2060年には38.1%に達すると予測されています。かつては多くの現役世代で一人の高齢者を支えていましたが、いまやそのバランスは崩れ、2040年代にはわずか1.4人で1人のシニアを支えなければならない時代が到来します。もはや現役世代の負担だけで社会を維持することは不可能な領域に入っており、高齢者層のなかでもある程度の収入がある人には、負担を求めざるを得ないのが国の実情です。
しかし、実際のシニア世代の台所事情には厳しい現実があります。内閣府の「令和6年度 高齢社会対策総合調査」によると、60歳以上の平均年収は340万円ですが、その収入源として全体の約7割以上(75.7%)が「公的年金」を挙げています。財産からの収入(10.6%)や仕事による収入(44.6%)を持たない層にとって年金への依存度は極めて高く、その目減りは生活の破綻に直面することを意味します。
同調査では、現在の経済的な暮らし向きについて全体の30.7%が「心配である(家計にゆとりがなく、多少心配である/家計が苦しく、非常に心配である)」と回答しており、そのうち9.0%は「家計が苦しく、非常に心配である」と切迫した状態を訴えています。さらに、今後の生活において経済的な面で不安に思うこととして、実に74.5%の人が「物価が上昇すること」を挙げており、次いで「収入や貯蓄が少ないこと」も47.1%に上ります。
昨今の物価高騰に対して年金などの収入が十分に追いついておらず、実質的な生活への危機感が強まっていることがデータからも浮き彫りになっています。
Aさんのように、平均的な年金をもらえているケースは、統計上はまだ恵まれている部類に入るのかもしれません。それでも、税金や保険料が引かれたあとの「手取り13万円」という現実を突きつけられれば、迫り来る老後の不安に胸が締め付けられるのは、当然のことといえます。
