◆貸した金は返ってこなかったけど…
田中さんは苦笑いを浮かべる。「正直、30万円が返ってこないのは、まあ仕方ないかなと、今は割り切っています。それより惜しいのは、20年分の時間とか、信頼みたいなものですね」
責めるでも恨むでもなく、どこか達観したような口調だった。
「あの投稿を見てこっちは置いてきぼりですよ(笑)」
怒るほどでもない、でも忘れられるほどでもない。そんな「あきれ笑い」のような感情は、田中さんだけでなく、山田さんや鈴木さんの中にも、今もきっと同じように残っているのだろう。
3人はあれ以来、松本さんの話題が出るたびに、ちょっと笑って、ちょっと黙る。そのくらいの距離感で、今日も変わらず付き合いを続けているという。
<TEXT/maki>
【maki】
ライター・エッセイストとして活動中。趣味は人間観察と読書。取材からエッセイ、コラムまで幅広く執筆している

