
◆「10人で戦う時間」が失点に結びつく
スウェーデン戦は、キックオフの時点でノックアウトステージ進出をほぼ確実にしていた。それでも日本は勝利を目指してピッチに立った。後半11分、菅原由勢から斜めに差し込まれたパスを、堂安律と上田綺世の見事な連係が前田大然の先制ゴールを生んだ。その後、主審からソックスの履き替えを命じられた中村敬斗が一時的にピッチを離脱。10人で戦う時間を余儀なくされると、ゲームの主導権は相手へと傾く。後半7分、アンソニー・エランガに同点弾を許してしまう。相手のFKから続く一連の流れであったため、失点時は堂安が左、中村が右に位置するイレギュラーな配置であった。噛み合わせのズレが要因となり、中央へカットインするスペースとシュートの隙を与えてしまった。日本にとっては守備の反省点となるが、クロスとも見紛うタイミングと弾道でネットを揺らしたエランガの技術が一枚上手であった。
そのままスコアは動かず1-1のドロー。試合自体は互いに白星を狙い合う緊張感に満ちていたが、敗戦でも勝ち上がれる状況だったため、どこか安堵感を持ちつつ見守れる一戦であった。第3戦でこれほど心理的な余裕を持って戦えた大会は過去に例がない。プロセスの段階とはいえ、現在の躍進は「最高の景色」の片鱗を成すものといえる。
◆FIFAランキング上位に入るだけではなく…
日本サッカー協会(JFA)は「最高の景色を2026 FOR OUR GREATEST STAGE」を合言葉に今大会へ臨んでいる。掲げた言葉が指すのは、ワールドカップの頂点から見下ろす眺望だけではない。「SAMURAI BLUEだけが望む景色ではなく、日本サッカーを取り巻く全ての人たちとともに望む風景」と定義されている。同スローガンは「JFA2005年宣言」で掲げられた「2050年までにFIFAワールドカップを開催し、日本代表チームは大会で優勝する」という「JFAの約束2050」を原点とする。「約束を果たすには、今、世界の頂点を狙うチームでなければなりません」と、現在の立ち位置を具体的に示した決意表明なのだ。ちなみに、同宣言には2015年までに「日本代表チームは、世界でトップ10のチームとなる」という「JFAの約束2015」も存在していた。宣言以降のFIFAランキング最高位は2011年4月の13位であり、数字上の目標は達成できていない。しかし、10位以内に入りさえすれば目的を達するという単純な話でないことは、誰もが理解しているはずだ。順位だけで語るなら、現行の算出方式とは異なるものの、Jリーグ開幕前の1998年に9位を記録している。要するに、世界トップ10の基準を満たす実力を身につけることこそが本質なのだ。

