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生理痛で有給、更年期で昇進辞退…「我慢」の損失は年3.4兆円

生理痛で有給を使い、不妊治療で時短勤務を選び、更年期の影響で昇進を諦める。こうした「個人の我慢」が、収入やキャリアに大きな影響を及ぼしている現実があります。「これくらいで休めない」と、体調不良を抱えながら働き続けてきた人も少なくないでしょう。 

こうした状況を受け、2026年5月、経済産業省は企業・自治体向けに「女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」を公表しました。

「フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、生理・更年期・妊娠など女性特有の健康課題をテクノロジーで支援する製品・サービスの総称です。フェムテックは今、個人の健康管理だけでなく、職場の課題解決策としても注目されています。

女性の健康課題は「個人の問題」ではなく「社会の損失」

ヘルスケアテクノロジー 【画像出典元】「stock.adobe.com/metamorworks」

これまで多くの職場において、生理痛や更年期症状は「個人の体質や体調管理の問題」として片付けられがちでした。しかし、経済産業省が示したデータは、それが個人の問題にとどまらない社会課題であることを示しています。 

2024年2月、経済産業省は生理痛(月経随伴症)や更年期症状、婦人科がんといった女性特有の健康課題に、男女双方に関わる不妊治療を加えた4項目による社会全体の経済損失は、 年間約3.4兆円にものぼるという推計を発表しました。国が初めてこの莫大な損失を数字で示したインパクトは大きく、逆に企業が本気で支援に取り組めば、最大で年間約1.1兆円ものポジティブな経済効果が期待できるとも試算されています。

この損失は抽象的な数字ではなく、一人ひとりのキャリアの断絶の積み重ねです。たとえば厚生労働省の調査(※1)では、不妊治療と仕事の両立ができずに離職した人が約11%にのぼり、雇用形態の変更や治療の中断まで含めると26.1%(4人に1人以上)が「両立できなかった」と回答しています。

更年期についても、NHKや労働政策研究・研修機構などが行った「更年期と仕事に関する調査2021」では、症状を理由に「非正規化」「降格・昇進辞退」「労働時間・業務量の削減」「離職」のいずれかを経験した女性が15.3%、うち「仕事をやめた」人が9.4%を占めました。

こうした健康課題は、女性の生涯賃金やキャリア形成にも影響します。不妊治療との両立が難しく退職を選んだり、更年期症状によって昇進や管理職への挑戦を諦めたりすれば、影響は一時的な収入減にとどまりません。キャリアの中断や昇進機会の喪失は、長期的な賃金格差にも繋がります。

※1 厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」(令和8年3月)

職場で進むフェムテック導入

今回公表されたガイダンスは、国が2021年から実施してきた実証事業の成果をもとに、企業や自治体がフェムテックを導入する際のポイントや事例をまとめたものです。

これまでフェムテックというと、吸水ショーツや体調管理アプリなど、個人が利用するアイテムというイメージを持つ人も多かったのではないでしょうか。しかし、今後は企業が組織として取り入れる「福利厚生や勤務制度」としての側面も強まっていきそうです。

実際に、経済産業省の実証事業では、職場への導入を想定した取り組みも行われてきました。たとえば、体調管理アプリやオンライン相談、健診データを活用したセルフケア支援、職場への月経用品の設置、更年期症状に関するサポートなどです。体調不良を本人の我慢に任せるのではなく、働き続けやすい環境を職場側が整える動きと言えます。

配信元: mymo

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