
「不動産投資は儲かるのではないか――」投資ブームが世間を席巻するなか、こう考えている人は少なくないでしょう。不動産投資で儲かっている人がいる一方で、現実には損をしている人も珍しくありません。本記事では、不動産投資のリスクについて、弁護士の加藤慶二氏が解説していきます。※事例については、過去の裁判例を一部脚色したうえで、用いています。
不労所得も夢じゃない?「不動産投資」とは
そもそも、不動産投資とは一体どのようなものでしょうか。
不動産投資では、投資者が不動産を購入するものの、その物件に自分が住むわけではありません。他人に貸して、賃料を受け取り、それを原資に購入時の銀行等から借りたローン返済に充てます。そこで若干の余りが出れば、それを生活の足しにするという仕組みです。
ローンの支払いが終われば、経費を差し引いた賃料収入がまるまる手元に入るので、賃料収入だけで生活をしていくことができる可能性も出てきます。さらに、購入した不動産が値上がりしていれば、売却するなどして、まとまった売却益を得ることも期待できるでしょう。
このように、不動産投資は、入ってくる賃料(インカムゲインともいいます)と、将来的に売却したときの売却益(キャピタルゲインともいいます)を目当てに行う投資といってもよいかもしれません。
ただし、甘い話ばかりではありません。そこには当然、リスクが潜んでいます。最近では、詐欺まがいの悪質なトラブルに巻き込まれてしまうケースも報告されています。
惑わされる「手だしゼロ・節税」の甘い罠
実際の不動産投資でどのようなトラブルが起きるのか、Aさんという50代男性の事例をみてみましょう。不動産投資のリアルなイメージが湧くはずです。
年収2,000万円と、高所得者であるAさんは、毎月支払う所得税や住民税の金額の高さに、もう少し安くできはしないものかと不満を持っていました。いわゆる社会的ステータスが高い人ほど、税金の負担は重くなるものです。そんなタイミングを見計らうかのように、業者から次のような勧誘を受けます。
「不動産投資ということで家を購入しませんか? 家の購入金は銀行からローンを借りましょう。毎月のローンの返済は、購入したマンションを誰かに貸すことでもらえる賃料で賄いましょう。ローン返済は賃料を充てればよいので、あなたの手だしはありません」手だしがないのは魅力的です。さらに、業者は言葉を重ねました。
「しかも、マンションを購入すれば、購入額の一定額を経費として申告できますよ」経費として申告することができれば、課税対象となる金額が減ります。自分が支払う所得税、住民税の金額が安くなる可能性があるのです。この魅力的な提案に、Aさんは契約書にサインしました。
