
◆16歳で高校中退して極貧生活へ

MIOさん(以下、同):親が学費を払ってくれませんでした。私の親は、2歳のときに離婚しています。高校までは母に育てられて、そこから父親のもとへ行って、学費を払ってもらうといってくれて学校に行ったんですが、途中から払えなくなってしまったんです。私も居酒屋でアルバイトはしていたのですが、やりたいこともないし、自分で学費を払ってまで高校に行きたいとは思えなかった。それに、当時は遊ぶのに夢中になっていたのもあります。
地元で先輩たちと夜な夜な遊びまわるのも、みんながやっていたからやってただけで、心から楽しいと思ったことはありません。私は何をしてるんだろう、って思ってました。親がちゃんと働いていなかったので、そうはなりたくないと思って始めたはずのバイトも、いつの間にか、やる気も責任感も失せて遊ぶばかりの日々になっていました。

いろいろバイトをしながら、高校を辞めてからひとり暮らしを始めたのですが、まともに家賃も払えない状態でした。遊んでばかりでちゃんと働いていなかったから、毛布も布団も買えず、凍えながら寝ていたんです。
ある時、バイト仲間が地元に連れて行ってくれて、ある先輩と出会いました。彼は家にストーブや毛布を持ってきてくれて、私のことを色々と助けてくれて……彼のお母さんが働いている会社で、私も働かせてもらえることになりました。そこはプラントやボイラーなどの溶接を行う会社で、私は“雑工”を担当することになったんです。出張に行く職人さんのための道具の段取りをしたり、製品が出荷される前に仕上げのペンキ塗りをしたりといった、いわゆる事務仕事ですね。2年くらいやったかな。
そこでの出来事が、私の仕事人生を大きく変えることになるんです。
◆出張族の先輩たちの話で、現場に憧れて溶接工へ

もともと、現場に出張に行っている先輩たちから「あそこに行って楽しかった」という話や、「◯県のどこどこに行った」と聞いて、出張現場に憧れていたんです。自分も技術を身につけて、稼げるようになりたかった。
あとは「工場は出張してる人たちに養われとるけんな」と言われて、そのことについて考えるようになって。やっぱり自分のスキルを身につけて頑張りたい、もっと稼ぎたい、と思って、勝手に自分で溶接をやりはじめました。そうしたら、社長から「免許取る?」と言われたんです。
――「免許」とは?
私たちの業界でよく使うのはJIS(ジス)という資格なのですが、これはそこまで勉強はいらないですし、実技をやっていれば比較的簡単に取れるんです。当時働いていた会社の環境ではよく練習をさせてくれて、実技の面でも困りませんでした。そこからさらに、国家資格である「ボイラー溶接士」にも挑戦しました。こちらは学科試験もあるので、私には2ヶ月くらい勉強が必要でしたが、無事に取得することができました。そのあとも十分と言っていいほど、様々な資格を取らせてもらいました。

「(若いし、女性だし)珍しいな」って言われました。まあ、そうですよね、現場に女の子なんてほとんどいないですから。でも、それでむかついたりすることは全然ないです。みんなフラットに接してくれるし。やる気を褒められたり、資格も沢山取らせてもらっていたので褒められたり「溶接めっちゃうまいな」って技術を認めてもらえることは多いけど、だからこそ、手を抜かないようにしています。もともと負けず嫌いだったんですけど、現場に出て余計にその気質が強くなった気がします。
――現場で声をかけられたり、ナンパされたりすることは……。
見た目に関しては、インスタではいろいろメッセージをいただくことが多いんですけど、現場で直接しゃべりかけてくる人はいないです。現場の男性たちに対しても、仕事の仲間として接しているので、そういう目では見ていないですし。仕事中は話しかけにくいオーラが出ているのかもしれない(笑)。
――職場に「女の子がもっといればいいのに」と思ったことはありませんか。
たまに「恋バナしたいな」と思うくらいで、そんなにないです。電話で地元の友だちとも話せますしね。そのあとで独立してから、いとこの女性を雇ってみたんですが、やっぱり現場の仕事における女の子って違うというか、難しいなと感じました。

