「善意の同居」を守るために
ミクさんがケアマネジャーに相談した結果、出た結論は「いったん別居する」でした。ミクさんが元の住まいに戻り、コハルさんはヘルパーと訪問看護を組み合わせた在宅ケア体制に移行する計画です。コハルさんは最初こそ抵抗しましたが、「ミクさんが倒れたら元も子もない」というケアマネジャーの言葉が、少しずつ届きはじめています。
「お母さんのことが嫌いになったわけじゃない」とミクさんは言います。「ただ、私の人生もあるから」。
同居介護で最も見落とされがちなのは、「善意だけでは続かない」という現実です。子世代の収入・貯蓄・精神的余裕が底をついたとき、最も困るのは当の高齢者自身です。介護保険サービスをうまく活用し、専門家と連携しながら「無理のない距離感」を保つこと。それが結果として、親子関係を長く守る道につながります。同居を検討する際には、費用負担・家事ルール・介護サービスの利用について、事前に話し合っておくことが不可欠です。
