◆■「制限速度=安全速度」ではない、道交法70条が問う運転者の責任
そして、リードで触れたある一条――道路交通法第70条「安全運転義務」。条文は、こう定めています。「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
ポイントは「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ」の部分です。雪道、雨天、霧、繁華街、通学時間帯――同じ制限速度40km/hの道でも、状況次第で安全な速度は変わってきます。制限速度は、あくまで上限であって、そこまで出していい保証ではないのです。
エピソード2の高田さんが、法定速度40km/hの道を20km/hで走っていたのは、地元の人が長年の経験から身につけた、雪道への向き合い方でした。一方で、爆音とともに追い越していった軽自動車は、その数分後に側溝の中にいた。ハンドルを握った瞬間、周囲の状況が読めているか。急いでいる自分の焦りは、目の前の路面より優先されるべきものなのか。トラック運転手の一喝や、雪道が静かに下した結末は、どちらも同じことを問いかけているのかもしれません。
<再構成/日刊SPA!編集部>
(出典:「令和7年版 犯罪白書」より/原データは警察庁交通局)
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

