5年間の我慢がムダだったなんて…「年金繰下げ受給」を選んだ72歳妻の悲劇。夫の急逝で直面した〈残酷な現実〉【社労士FPが「遺族厚生年金の調整」を解説】

5年間の我慢がムダだったなんて…「年金繰下げ受給」を選んだ72歳妻の悲劇。夫の急逝で直面した〈残酷な現実〉【社労士FPが「遺族厚生年金の調整」を解説】

「5年間の我慢はムダだったなんて…」裏目に出た繰下げ受給

ここで、マサミさんは気がつきます。

「それって、繰下げ受給しないほうがよかったってことですか……?」

もし老齢厚生年金を繰り下げていなければ、遺族厚生年金120万円から差し引かれるのは40万円で、差額は80万円となります。

つまり、繰下げ受給をしなかった場合、リュウイチさん他界後の受給総額は、老齢基礎年金75万円、老齢厚生年金40万円、差額支給の遺族厚生年金80万円の合計195万円。繰下げをしてもしなくても、合計額に変わりがないことになります。

しかも、繰下げをしていなければ65歳~70歳になるまでの5年間も老齢厚生年金を受給することができたことにも気がつきました。

「5年間の我慢はムダだったってこと……? 私だけ長生きしても、意味がないじゃない……」

年金事務所の窓口で、マサミさんは思わず顔を覆いました。

【社労士FPが解説】繰り下げるべきは「老齢基礎年金」だった…見落としがちな遺族年金の“落とし穴”

このように、老齢厚生年金には遺族厚生年金との調整という、見落としがちな“落とし穴”があります。今回のケースでいえば、繰下げをするとすれば、老齢厚生年金ではなく、調整のかからない老齢基礎年金のほうを選択すべきでした。

繰下げ受給は、増額した年金を受け取れる分、本人の「長生きリスク」に備えることができますが、配偶者の他界により大きな影響を受ける可能性があります。

繰下げ受給を検討する際には、こうした点もあらかじめ確認しておくようにしましょう。

五十嵐 義典
特定社会保険労務士/CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役

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