【福島県楢葉町・職場見学】誰かが誰かを見守る楢葉町で。ならは薬局からつなぐ地域医療の輪

【福島県楢葉町・職場見学】誰かが誰かを見守る楢葉町で。ならは薬局からつなぐ地域医療の輪

2020年、楢葉町に開業した、ならは薬局。東日本大震災と原発事故による全町避難を経て医療資源が限られるこの地域で、在宅医療や住民の健康相談などを担いながら、地域に寄り添う薬局として歩みを続けています。その立ち上げから関わり、現在も管理薬剤師として地域医療を支えているのが、茨城県から楢葉町へ移住した飯塚織恵(いいづか おりえ)さんです。

「楢葉町は、誰かが誰かを見守っている温かい町です」

そう語る飯塚さんは、薬を渡すだけではなく、住民の暮らしや健康を支えるため、医療や介護などの多職種と連携しながら地域に深く関わってきました。

飯塚さんが楢葉町へ移住した経緯や、この地域で目指している医療のかたち、そして移住者として感じている楢葉町の魅力について伺いました。

「自分にできることがあるなら」楢葉町への移住を決意

飯塚さんは群馬県出身。結婚を機に茨城県へ移り住み、長年、薬剤師として在宅医療に携わってきました。

2011年の東日本大震災当時は「被災地支援へ行きたい」という想いを抱きながらも、子どもがまだ小さかったこともあり、職場や家族の反対で断念した経験があったと言います。その後、2016年の熊本震災での災害支援をきっかけに、福島県薬剤師会のメンバーと意気投合。交流を続けるなかで、「楢葉町に新しくできる薬局の立ち上げを手伝ってほしい」と声がかかりました。

「最初に話を聞いた時は、正直迷いました。けれど、現地を訪れて楢葉町の医療資源が少ない現状を目の当たりにして、自分にできることがあるならやってみたいと思いました」

とはいえ、家族と離れて暮らすこと、夫と大学生の息子さんの食事の心配などで、移住への迷いは尽きなかったと言います。そんな飯塚さんの背中を押したのは、家族と職場の人たちでした。

「主人に相談したら“やれることがあるなら行ってきたらいいんじゃない”って言ってくれて。職場も、“落ち着いたら戻ってきてくれればいいよ”って送り出してくれたんです」

こうして2020年5月、コロナ禍の真っ只中、飯塚さんは愛犬とともに楢葉町へと移住し、新たな一歩を踏み出しました。

薬だけではなく、その人の暮らしをみる

ならは薬局は、福島県内初の公設民営薬局で、地域の復興拠点「笑ふるタウンならは」に整備されました。処方箋の調剤だけでなく、健康相談や介護に関する相談にも応じるなど、地域住民の暮らしを支える役割を担っています。

そんなならは薬局で大切にしているのが、「薬を渡して終わり」ではなく、その人の暮らしまで含めて関わることだと飯塚さんは言います。

「薬が生活にどう影響しているのか、飲めていない場合はなぜなのかを、生活と結びつけて考えるようにしています。飲み忘れの背景には、生活リズムや家族環境、身体の状態など、さまざまな理由があります。薬のことだけをみるのではなく、その方の暮らし全体を知ったうえで、『どうすれば無理なく続けられるか』を医師と一緒に考えています」

飯塚さんが目を向けているのは、薬そのものではなく、その人の暮らしです。医療や介護の資源が限られる楢葉町では、訪問看護や在宅医療を担う医師も多くありません。そのため、住民のちょっとした変化や困りごとに気付き、必要な支援へつなぐ役割も薬局に求められています。

配信元: Nativ.media

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