始まりは「退職金の入金」を告げる金融機関からの電話だった――まじめな父の退職金が「溶けた」まさかの理由【小林篤典CFPに聞く】

始まりは「退職金の入金」を告げる金融機関からの電話だった――まじめな父の退職金が「溶けた」まさかの理由【小林篤典CFPに聞く】

金融商品の選び方よりも大切な「距離感」

――初心者が投資を始めるとき、どうしても「どの商品が儲かるか」に目を奪われがちです。それよりも大切な視点とは何でしょうか。

小林:

圧倒的に大切なのは、お金や投資との「距離感」です。

多くの投資初心者は、投資との距離が近すぎます。知識がないからこそ、身近な友人や金融機関の担当者の言葉に簡単に引っ張られてしまう。また、一度投資を始めると、日々の値動きが気になってスマホを何度もチェックし、一喜一憂してしまう。

人間は感情の生き物ですから、自分の資産が目減りするのを目にすると、どうしても恐怖や焦りから「取らなくてもいい行動(狼狽売りなど)」を取ってしまいます。金融商品を選ぶ前に、まず「自分はどのぐらいの時間をかけて投資に取り組み、どのような距離感で投資と付き合っていくのか」を考えることが、身を滅ぼさないための第一歩です。

定年を迎える家族にできること

――もし、自分の親がこれから退職金を手にしようとしている場合、家族としてどのようなサポートができるでしょうか。

小林:

まずは、入り口の段階で「本当にその投資は必要なのか?」を一緒に冷静に考えてあげることです。

世の中の「投資ブーム」に煽られて、「退職金が出たから、何か運用しなきゃいけない」と思い込んでいるシニアは多いです。しかし、なかには十分な貯蓄があり、多少のインフレがあっても今の資産のまま静かに暮らしていける人だっています。それなら、わざわざリスクを取って退職金を溶かす必要はありませんよね。

家族だからこそ、「無理に増やそうとしなくていいんだよ」とブレーキをかけてあげられる存在になってほしいと思います。それでも投資が必要な場合は、金融機関の窓口に一人で行かせず、利益相反のない適切な相談相手を一緒に探してあげるなどのサポートが極めて重要になるのです。

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