金融機関の「有望顧客」とは誰か――資産運用の「窓口相談」における落とし穴【FPが解説】

金融機関の「有望顧客」とは誰か――資産運用の「窓口相談」における落とし穴【FPが解説】

金融機関の「有望顧客」は高齢者

投資信託協会が実施した投資信託に関するアンケートから、60代以上の高齢者の実態がわかります。

●高齢者ほど保有資産額が大きい

●高齢者ほど金融機関に勧められて購入している

●高齢者ほど金融機関の担当者の説明を参考にして購入している

●高齢者ほど金融機関主催のセミナーが良いと考えている

加えて、手数料に関する認知度が低いこともわかります。

●ノーロードファンド(購入時手数料が無料の投資信託)があることを知らない

●販売会社によって購入時手数料が異なることを知らない

●信託報酬が日々引かれていることを知らない

「お金はある。知識がない。信用している」そんな高齢者の姿が見えてきます。金融機関は、そのような人たちから手数料を稼ぎたいと考えている可能性があります。そして、そのような人たちが有望顧客なのです。これは、残念ながら詐欺のターゲットになりやすい層と重なります。

すべての金融機関の担当者が高齢者をターゲットにして手数料稼ぎをしているわけではないでしょう。親身になって相談に乗ってくれる担当者もいます。それでも、「親切そうに見える手数料稼ぎをしたい担当者」と「本当に親身に相談に乗ってくれる担当者」を見分けることは難しいかもしれません。

金融機関のセミナーの実態

私も興味半分で金融機関が開催する資産運用セミナーに参加したことがあります。オンラインが多いですが、金融機関の会議室で行うセミナーに参加したこともあります。

金融機関のセミナーは、ほぼパターンが決まっています。直近の経済状況、投資の必要性、NISAの利益非課税メリット、投資をする際の注意点など、非常にまっとうな話が続きます。聞いている側も「なるほど、そうだよね」「投資は必要かもしれない」と納得します。

そして後半になると、唐突に具体的な商品の話が出現します。「このような商品がありまして、特徴は……」

「……このような商品がオススメです!」

つまり、セールス活動です。話題になっているテーマの投資信託や、仕組みがよくわからない債券などがよく登場します。私からすると、なぜその商品が出てきたのか、なぜお勧めなのか、理由がさっぱり理解できないのですが、セミナー前半で投資の必要性に納得した人の中には、「オススメ商品」の購入に踏み切る人もいるでしょう。

そして、その後の運用成績は、あまり良い結果につながらないことが多いようです。

※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新のデータ、法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。

小林 篤典
FP事務所 きずな 所長

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