皇室典範改正案、政府与党がここまで許される理由は何か。 野田佳彦よりはマシの一点だけだ/倉山満

皇室典範改正案、政府与党がここまで許される理由は何か。 野田佳彦よりはマシの一点だけだ/倉山満

―[言論ストロングスタイル]―

皇族数の確保に向けた皇室典範改正案は10日、衆院本会議で与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。中道改革連合も賛成に回り、衆院野党第1党を含む幅広い賛同を得たことで、今国会での成立が見通されている。ただ、法案の内容や政府与党の進め方については厳しい批判もある。皇室史研究家の倉山満氏は、一連の対応に看過できない問題があると指摘する(以下、倉山満氏による寄稿)。

野田佳彦
野田佳彦氏が有権者に向けて配布した7月5日付のビラでは「平安時代の藤原家のように、令和は麻生家が『この世をばわが世とぞ思ふ』時代になるのでしょうか」と懸念を訴えたが、麻生家と藤原家がどのように重なるのかといった言及はされていない 写真/産経新聞社

◆単なる一般人の男を皇族にすることは国体の破壊である

 週刊SPA!7月7日・14日合併号で、政府の皇室典範改正案要綱に苦言を呈しておいた。実際にできあがってきた法案は、輪をかけて酷かった。もはや、この法案を作成した者の、学歴詐称を疑うレベルだ。

 立法府の総意としてまとめられた案は二つ。第一案が、「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持すること」で、第二案が「旧皇族の養子による皇籍取得」。現行典範では皇族数が減るばかりである。

 だから第一案では、皇族以外の方と結婚したら皇籍離脱しなければならない女性皇族が残れるようにし、皇族を減らさない。第二案は、悠仁殿下に男の子が生まれなかった場合、男性皇族がいなくなる。そこでGHQの圧力で皇籍を剥奪された旧皇族の子孫の方々に、本来の身分を取り戻していただこうとの話である。

 そもそもが、悠仁殿下までの皇位継承は決まっているので、その次に備えようとの話である。

 国民に人気があるから愛子さまに天皇になっていただこうとの話ではない。何より愛子殿下が単なる一般人と結婚された場合、配偶者の男に皇族の身分を与えてはならない。

 単なる一般人の男を皇族にしたら、その時点で我が国の歴史に一度も先例が無い国体の破壊である。「愛子天皇」論の首謀者とも言うべき野田佳彦元首相は「なぜ配偶者が皇族になれないのか」などと軽く言ってくれたが、それが許されるなら日本の歴史は何だったのかとなる。

◆女性皇族だけ増やす設計をしてどうする

 政府案は、「単なる一般人の男を皇族にしない」の一点だけは守った案になっている。すなわち、女性皇族は結婚後も、皇族の戸籍である皇統譜に残る。同時に、配偶者の戸籍にも名前が載る。配偶者の男性が皇統譜に載ることはない。このような細かい点で、制度が担保されている。

 この一点だけで「愛子天皇」論を煽りまくった連中の敗北だ。要するに、「戦争目的」を達させなかった。

 問題は、それ以外の点だ。これが与党でも評判が悪い。

 第一案。女性皇族が結婚後も皇室に残るのが原則で、例外的に現在の女性皇族が離脱を望んだ時に許される。愛子殿下や佳子殿下、あるいは彬子殿下らが生まれた時に存在した制度ではないので、本人が望めば離脱できるとの設計だ。

 こんなことは立法府の総意にも、その前段階の政府の提言にも無かった。突然、挿入された。

 今は皇族が少なすぎるからわかりにくいが、皇族は多すぎても皇室は不安定になる。今後、悠仁殿下にも、皇籍取得される旧皇族の方々にも、女の子しか生まれなかったらどうするのか。

 女性皇族ばかりが増える可能性も、十分にある。その方たちのご結婚相手が、一般人ばかりだったら? ただでさえ男性皇族が少なくて困っているのに、女性皇族だけ増やす設計をして、どうする?


配信元: 日刊SPA!

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