
国の後押しもあり、多くの人がチャレンジしている資産運用。しかし、商品の内容や手数料といった重要な事項を理解しないまま購入してしまうと、後悔することになりかねません。本稿は、小林篤典氏の著書『父が溶かした退職金 【上】』(ゴールドオンライン新書)から一部を抜粋・再編集したものです。
NISAが金融機関の「販促ツール」に?
あるとき、相談に来た60代の女性がこう言いました。
「先生、私、騙されたんでしょうか…」
手には、銀行で勧められた商品のパンフレットがあります。よく見ると、購入時手数料が3.3%、信託報酬が1.8%。なかなかの高コスト商品です。
「NISAのことはよくわからないので、お勧めを教えてもらって買ったんです…」
購入時手数料が3.3%、信託報酬が1.8%という投資信託ですが、実はこのような商品をNISAの「つみたて投資枠」で購入することはできません。NISAの「つみたて投資枠」の購入時手数料はゼロと決まっています。そして、「つみたて投資枠」では、これほど高い信託報酬の商品は買えない(売れない)ようになっています。
では、この人はどうやって買ったのでしょうか。NISAの中のもう1つの枠である「成長投資枠」で購入していたのです。NISAの「成長投資枠」は、多くの商品が買えるようになっています。「購入時手数料が3.3%、信託報酬が1.8%」のような高コスト商品も買えてしまいます。
金融機関の立場からすれば「つみたて投資枠では、低コスト商品しか売れないから儲けが少ない」「成長投資枠では、高コスト商品を売れるから儲けられる」と言えなくもありません。
あなたは、NISAという良い制度を入口に、成長投資枠でしか買えないような高コスト商品を買っていませんか。NISAが「金融機関の販促ツール」として利用されている可能性に注意が必要です。
衝撃データ…「この金融機関の顧客は損失を出している人が多い」と公表されている
あなたは、金融庁が「利益や損失を出している人の割合」を金融機関ごとに公開していることをご存じですか。
「○○証券で投資をしている人は、利益を出している割合が高い」
「△△銀行で投資をしている人は、損失を出している割合が高い」
こんな情報が公開されています[図表1][図表2](書籍の巻末には付録として全データが掲載)。
[図表1]運用損益がプラスの顧客の割合(2025年3月末基準) 上位10機関 出典:『父が溶かした退職金 【上】感情に振り回されない「マインドフリー」投資』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
[図表2]運用損益がプラスの顧客の割合(2025年3月末基準) 下位10機関 出典:『父が溶かした退職金 【上】感情に振り回されない「マインドフリー」投資』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
上位の金融機関は90%を超える人が利益を出しています[図表1]。一方で、最下位は25.7%です[図表2]。つまり、その金融機関と取引している100人のうち74人は損失を出していることがわかります。
あまりにも金融機関ごとの差が大きいと言えるのではないでしょうか。詳細に確認すると次のような特徴があることがわかります。
●独立系の直販投信会社(セゾン投信、コモンズ投信など)が上位
●大手ネット証券(楽天証券、SBI証券、マネックス証券)は73~74%と中位
●メガバンクは78~82%程度と健闘
●下位は銀行系証券会社が多い
