保険金が「支払われない」主なケース
個人賠償責任補償特約は日常生活のトラブルを広くカバーしてくれますが、何でも支払われるわけではないので注意が必要です。
職務(仕事)中の事故
出張中や業務としての配達中に起こした事故は対象外です(ビジネス用の賠償保険の領域になります)。ただし、通勤・通学中の事故であれば対象になります。
自動車やバイクの運転中の事故
これらは「自動車保険(対人・対物賠償)」から支払われるため、個人賠償特約からは出ません。
同居の家族に対する損害
身内(被保険者と同居の親族)に怪我をさせたり、家族のモノを壊したりした場合は支払われません。「他人」に対する賠償が原則です。
故意に(わざと)起こした事故や、ケンカなどによるもの
天災(地震・噴火・津波)に起因する事故
マンションで起こるトラブルにはどういうものがあるか
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水濡れのリスク
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、マンション内で発生したトラブルの具体的内容についても調査が行われています。
それによると、最も多いのは「居住者間のマナー(違法駐車や生活音など)」ですが、「建物の不具合に係るもの」の中では「水漏れ(20.1%)」が1位となっています。これは、2位の「雨漏り(10.7%)」の約2倍にあたる数字です。
水漏れが発生する主な原因には、以下のようなものがあります。
・経年劣化: 壁の裏や床下を通る給排水管、給湯管のサビや亀裂(特に築20~30年を過ぎた物件で多発)
・不注意による事故: 洗濯機ホースの破裂・外れ、お風呂の蛇口の閉め忘れ、排水口の詰まり
特に床下の配管は目に見えないため、気付いた時には「下の階の天井から水がポタポタ落ちてきた」という形で発覚するケースが後を絶ちません。
マンション床下の配管は「あなた個人の持ち物」かも
「床の下にある配管だから、マンション全体の共有物(共用部分)で、修理も管理組合がやってくれるはず」と思っていませんか? 実はここに、多くの人が勘違いしやすい大きな落とし穴があります。
マンションの配管が「みんなのモノ」か「個人のモノ」かを分ける基準は、法律(区分所有法)やマンション標準管理規約によって、次のように明確に決まっています。
・みんなのモノ(共用部分): 縦に真っ直ぐ通る「本管(立管)」。マンション全体の水が通る一本の太い管です
・個人のモノ(専有部分): その本管から枝分かれして、あなたの部屋のキッチンや浴室に向かって床下を横に走っている「枝管」です
つまり、床下であっても「自分の部屋のためだけに水を引き込み、排水している枝分かれした配管」は、法律上、あなた個人の持ち物(専有部分)になります。
その床下の枝管が原因で下の階に水漏れを起こしてしまった場合、「自分の持ち物の管理不備」となり、あなたが加害者として修理費や賠償金(数百万円にのぼることも)を負担しなければならなくなります。
例外的なルールもある
一部のマンションでは、「床スラブ(コンクリートの床板)の中に配管が埋め込まれていて、物理的に個人でメンテナンスができない」といった特殊な構造の場合、規約で「共用部分」と定めているケースもあります。
必ず、ご自分の持ち家となったマンションの管理規約を確認し、「共用部分」と「専有部分」の範囲を確認しておきましょう。一戸建てとは異なり、上下左右に他人が暮らすマンションでは、一度水漏れが起きると「被害者」にも「加害者」にもなり得る大きなリスクをはらんでいます。
水濡れ事故は火事の7倍、もし加害者になってしまったら
損害保険料率算出機構の「2025年度火災保険・地震保険の概況」によると、火災保険において「水濡れ」が原因で保険金が支払われた件数は年間5.7万件にのぼり、これは主たる「火災」による支払い件数の約7倍に匹敵します。
もし自分の部屋での不注意や、自分の専有部分(床下の配管など)の劣化が原因で階下に水漏れを起こしてしまった場合、法律上の「損害賠償責任」を負うことになります。
この時、負担しなければならない費用は高額になる場合があります。
・階下の部屋の内装復旧費用(天井や壁紙の張り替え、専門業者による乾燥作業など)
・ 濡れてしまった家財の弁償(高級家具、家電製品、パソコン、衣類など)
・仮住まいの費用(被害が大きく、階下の住人が一時的にホテル等に避難する必要がある場合)
これらを合わせると、被害が小さくても数十万円、広範囲に及ぶと数百万円単位の賠償請求に発展するケースは珍しくありません。
このような「万が一の高額な出費」から身を守ってくれるのが、「個人賠償責任補償特約」です。