保険料が数倍に…節税メリットが吹き飛ぶ「等級リセット」
名義変更にあたって見落とされがちなのが、「自動車保険(任意保険)」の取り扱いです。運輸支局で移転登録(名義変更)の手続きを行う前に、必ず保険会社に対して「個人のノンフリート等級が法人契約に引き継げるか」を確認する必要があります。
個人で長年無事故を続け、たとえば20等級の高い割引率を持っていたとしても、法人契約への引き継ぎを認めるかどうかのルールは保険会社によって大きく異なります。
もし引き継ぎが認められず、新規契約の6等級からのスタートとなってしまえば、保険料は何倍にも高騰し、節税メリットが完全に吹き飛んでしまう恐れがあります。
等級の引き継ぎができない場合は、「レンタル契約」をするのもひとつの手
万が一等級の引き継ぎができない場合は、名義を個人のままにしておき、社長と会社間で車の「賃貸借契約」を結ぶという代替案が存在します。会社が社長個人に毎月適正な賃料(使用料)を支払い、事業で使用するガソリン代や高速代を会社の経費とする方法です。
この場合、減価償却費や自動車税、保険料はあくまで所有者である個人の負担となるため節税効果は限定的ですが、保険の等級を守る手段としては有効です。
私的利用は否認の対象…法人名義変更後に税務調査で問われる「利用実態」
無事に名義変更を終え、保険の引き継ぎが完了したあとも、適切な運用を行わなければ税務調査で指摘されるリスクがあります。
法人名義の社用車は、あくまで事業のために使用されるべき資産です。社長やその家族が、業務とは関係のないプライベートな旅行などで使用した場合、その分の費用は法人の経費として認められません。ただし、「基本的には会社の事業で使用し、たまにプライベートでも使用する」という実態であれば、会社に対して「使用料」を支払う規定を設けることで対応が可能です。
使用料は、具体的な根拠を持って算出することが重要です。たとえば、1ヵ月あたりの車の減価償却費と維持費の合計が20万円であり、そのうちプライベートでの利用割合が10%である場合、20万円の10%にあたる「2万円」を会社に支払うというルールを定めます。
このように明確な計算基準を持っておくことで、税務調査の際にも事業利用と私的利用の区分を客観的に説明することができます。
