◆期待値が高すぎた?相場下落を招いた“現実”
ではなぜ、ここまで相場が変わったのか。最大の要因として考えられるのが、昨夏にデビューした3歳世代の「悪くはないが、圧倒的でもない」という成績だ。
ゴーイントゥスカイが青葉賞、コンジェスタスが京都新聞杯を制し、2頭そろって日本ダービーに出走した。普通の新種牡馬なら、十分に合格点を与えられる滑り出しだろう。
ただ、コントレイルには普通の採点表が使われない。無敗三冠馬であり、ディープインパクトの有力後継候補。昨年まで落札額が平均1億円を超えていた父には、重賞2勝にとどまらない活躍が期待されていた。
初年度産駒は決して大きく躓いたわけではない。ただ、1億円という値札を守るほどの存在が今回のセールまでに現れなかった。つまり「期待との差」が今年のセレクトセールの相場に反映されたとみるのが自然だろう。
◆エフフォーリア産駒に完敗…市場評価で広がった決定的な差
この落差をさらに大きく見せたのが、エフフォーリア産駒の値段だった。今年落札されたエフフォーリア産駒は、1歳10頭と当歳5頭の計15頭。平均価格は約1億2593万円に達し、コントレイルの約6477万円にほぼダブルスコアをつけた。
セール直前の2歳戦でも、エフフォーリア産駒が6勝を挙げた一方、コントレイルの現2歳世代は未勝利のまま。出走頭数が違う以上、これだけで種牡馬能力は測れないが、購買者の印象を左右するには十分に分かりやすい「6対0」だった。
両馬は現役時代にも一度だけ直接対決があった。2021年の天皇賞・秋で、当時3歳のエフフォーリアが4歳のコントレイルに勝利。着差は1馬身だったが、内容はエフフォーリアの完勝。そして5年後、今度は産駒の平均価格で2倍近い差がついた。
他にも産駒が初登場したジャスティンミラノにも平均価格で上回られた。5頭のうち4頭が落札され、平均はちょうど7000万円。さらに現役時代のライバル・サリオスが8頭平均5200万円で、コントレイルとの差は前年から大幅に縮まった。

実績だけならコントレイルが文句なしの最上位だが、セリ市場で買われるのは過去の勲章ではなく、その血が次代に何を生み出すかという可能性だ。父の勲章が入口にはなっても、値札を守り続ける保証書にはならない。

