「もう疲れました。離婚しましょう」…長年のワンオペ育児・義母の介護に限界を迎えた63歳専業主婦。〈財産分与800万円〉で“束の間”の自由を満喫も、直面した過酷な現実【CFPの助言】

「もう疲れました。離婚しましょう」…長年のワンオペ育児・義母の介護に限界を迎えた63歳専業主婦。〈財産分与800万円〉で“束の間”の自由を満喫も、直面した過酷な現実【CFPの助言】

“束の間”の自由を満喫も、立ちはだかった「過酷な現実」

離婚にあたり、トモコさんは財産分与として夫婦の1,500万円の預金のうち、800万円を受け取りました。息子に保証人になってもらい、アパートの賃貸契約も無事に完了。

いちばん不安だった仕事探しも、意外なほどあっさり決まりました。40年ぶりの仕事は、ホームセンターでの品出しとレジ業務です。

時給1,200円で8時間勤務、週5日働けば月収は約20万円ですが、そこから社会保険料や税金などが諸々差し引かれると、手取りは16万円程度です。それでも、家賃6万円と水道光熱費1万円を差し引いて9万円が残ります。このときのトモコさんは、それだけあれば十分に自由を謳歌できると考えていました。

ところが、働き始めて3ヵ月ほど経ったある朝、めまいがして布団から起き上がれなくなってしまいました。仕方なく仕事を休み病院へ行くと、医師からは「疲れが出ているようですね。まずはゆっくり休んでください」と告げられました。

離婚に新生活の準備、数十年ぶりの仕事と、短期間で多くの大きな変化があったトモコさんの心身が悲鳴を上げてしまったようです。

1週間ほど休んで出勤すると店長から、体力的に厳しいと判断されたのか「トモコさんのシフトは少し減らすことにしました」と告げられました。

シフトは週5日のフルタイムから、週3日×1日6時間に減らされていました。この場合、月の収入は9万円ほどにしかなりません。さらに、週20時間未満の勤務になるため、会社の社会保険に加入できません。自分で国民健康保険や介護保険の支払いが必要になるため手取りがさらに減ってしまいます。

悩んだトモコさんでしたが、まだ身体も本調子でなく、新たな仕事を探して、また一から仕事を覚える気力も残っていません。結局、店長の提案を受け入れるしかありませんでした。

その結果、毎月の収支は一気に赤字に転落。現在は、財産分与で得た貯蓄を取り崩して生活しています。「自由」の代償は思いのほか、重たいものになってしまいました。

財産分与、年金分割…離婚後の生活を守る「公的制度」

トモコさんのように、長年の不満から離婚を決断したものの、事前の生活設計が甘かったために老後破産の危機に直面してしまう人は少なくありません。

離婚後の生活をスムーズにスタートさせるためにはさまざまな事前準備が必要ですが、特に見落としがちなのは次の2つです。

財産分与

財産分与の対象となるのは預貯金だけではありません。婚姻期間中に形成した株や投資信託などの金融資産、退職金、持ち家も対象となります。後悔しないように、共有財産に漏れがないか離婚前にしっかり確認しておきましょう。

なお、財産分与は離婚成立後であっても請求が可能です。これまで財産分与の請求期限は「離婚成立から2年間」でしたが、法改正により、2026年4月1日以降に離婚が成立した場合は5年に延長されました。

年金分割

トモコさんのような専業主婦が離婚をする場合、夫の厚生年金記録を妻へ分割する制度が利用できる可能性があります。それが、老齢厚生年金の「合意分割」と「3号分割」です。これらを利用すると、夫の年金記録の一部が自分の年金記録に書き換わるため、将来的に自分の年金受給額を増やすことができます。

夫婦が話し合いその割合を決める「合意分割」が難しくとも、「3号分割」は相手の承諾なしに請求が可能です。請求先は年金事務所です。なお、年金分割の請求期限も法改正により、2026年4月1日以降の離婚では、離婚翌日から5年間となりました。(2026年3月31日以前の離婚は2年間)

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