「ショウヘイって誰?」マイク・タイソンの発言が浮き彫りにした、大谷翔平人気をめぐる“世界とのズレ”

「ショウヘイって誰?」マイク・タイソンの発言が浮き彫りにした、大谷翔平人気をめぐる“世界とのズレ”

◆アメリカでさらに存在感を強めるサッカー

 もっとも、近年はWBCの盛り上がりや全米中継の増加に加え、配信やマーケティング戦略の見直しもあって、今年のMLBの視聴者数は前年比44%増というデータもあります。

 しかし、その追い風が、長年続く野球人口の減少に歯止めをかけられるかといえば、依然として楽観はできません。

 実際、今回アメリカで開催されたサッカーワールドカップでは、給水タイムの導入によって実質的なクオーター制に近い演出が採用され、決勝では大規模なハーフタイムショーも実施されました。

 世界最大の競技人口を誇るサッカーが、アメリカ流のエンターテインメント性を積極的に取り込み始めたとも言える出来事です。見方を変えれば、アメリカにおいてもサッカーが存在感を一段と強める局面を迎えているのかもしれません。

◆マイク・タイソンの一言が日本人の心を揺さぶった理由

 そうした変化が起きているにもかかわらず、日本のスポーツニュースは相変わらず大谷翔平をトップニュースとして扱い続けています。

 もちろん、大谷の活躍が日本人に勇気や希望を与える明るいニュースであることは間違いありません。

 しかしその一方で、世界のスポーツ地図が少しずつ塗り替えられている現実から、目を背けているようにも映ります。いまの日本は、大谷翔平という一人のスーパースターに、自国の誇りまでも託してしまっているのではないでしょうか。

 だからこそ、マイク・タイソンの何気ない一言は、多くの日本人の心を揺さぶったのです。

 あの反応を単なる無礼として片づけるのではなく、日本と世界との認識のズレを映し出す出来事だったと受け止めることも、必要なのではないでしょうか。

文/石黒隆之

【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4
配信元: 日刊SPA!

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