
いつまでも若く健康でありたいのはだれしも同じですが、近年では、そのような思いから「再生医療」に足を踏み入れる富裕層が増えています。狙った効果が得られればいいのですが、実際には法的・身体的なリスクにさらされ、トラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。これらを回避する方法はあるのでしょうか。横浜パートナー法律事務所の高橋涼馬弁護士が解説します。
最先端医療の享受のはずが、悪質なクリニックの「カモ」に!?
近年、富裕層の間で「再生医療」への関心が急速に高まっています。幹細胞治療やエグゾソーム療法など、アンチエイジングや最先端の健康投資として、数百万〜数千万円の費用を投じる方も少なくありません。
しかし、自由診療を中心とした再生医療市場の急拡大に伴い、法的・身体的なトラブルに巻き込まれる富裕層が後を絶たないのが実情です。「高額な費用を払ったのにまったく効果がない」「事前の説明にない重篤な副作用が出た」といった相談が、弁護士のもとにも多く寄せられています。
最先端の医療を享受するつもりが、悪質なクリニックの「カモ」にされてしまっては元も子もありません。本記事では、法律家としての視点から再生医療の法的危険性を注意喚起するとともに、安全な再生医療と危険な再生医療を見分けるための確実な方法を解説します。
知っておくべき「再生医療安全確保法」の基本
日本における再生医療は2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全確保法)」により規制されています。
この法律では、再生医療をそのリスクの高さに応じて、以下の3つの分類に指定しています。
第一種(高リスク):iPS細胞やES細胞、他人の細胞を用いる治療など
第二種(中リスク):患者本人の幹細胞を培養して用いる治療(脂肪由来幹細胞治療など)
第三種(低リスク):細胞を培養せず、加工の程度が低い治療(PRP療法など)
医療機関がこれらを提供する場合、厚生労働省が認可した「特定認定再生医療等委員会」などの厳格な審査を経たうえで、厚生労働大臣に「再生医療等提供計画」を提出しなければなりません。
実は、この届出や許可を得ずに、未認可で細胞の培養や投与を行っている「違法クリニック」がいまだに存在します。無届けでの治療提供は明確な違法行為であり、そのような機関で治療を受けることは、高額な料金を払って自ら人体実験を受けるようなもので、大きな身体的・法的リスクを背負うことになります。
