「国家 vs. ビッグテック」の結論
そして2024年、市場と国家を切り離せるという前提は、さらに揺らいだ。
Telegram(テレグラム)の創業者パベル・ドゥロフがパリの空港で身柄を拘束された。容疑はプラットフォーム上の犯罪への加担と捜査への非協力だ。Telegramの通常のチャットは、運営側が内容を復号できるクライアント・サーバー型の暗号化で、同社は法執行機関への非協力を貫いてきた。だが、その非協力という運営方針も、経営者の身柄拘束という物理的な強制力の前には維持できない。
プラットフォームの秘匿性が運営判断に依存するとき、国家は経営者という一点を押さえれば足りる。
時を同じくしてブラジルでは、イーロン・マスク率いる米X(エックス)が最高裁判所のアカウント停止命令を拒否した結果、サービスへのアクセスを遮断され、関連会社Starlink(スターリンク)の資産まで凍結された。世界一の富豪でさえ資産凍結から数週間で命令に従った。
ビッグテックといえども、国家から独立した超越者ではあり得ない。権威主義国家の圏内では企業は党の監視装置の一部となり、民主主義国家の圏内では安全保障のパートナーとなり、それに反抗する者は法と物理的な力によって制圧される。
白畑 真
さくらインターネット株式会社
