「支えること」と「依存の固定化」を混同しない
「お金があれば不安はない」とは限りません。お金があることが、結果として子どもの自立を遠ざけてしまう一因にもなり得る――。和代さんのケースはその一例です。
父の清さんは、本来とっくに息子に譲っていたはずの会社の将来について、真剣に考えています。今後、第三者への事業承継や会社売却という選択をすれば、多額の資産が家族へ引き継がれるはずです。そうなれば、康介さんは、確かに生活に困ることなく暮らしていけるのかもしれません。
しかし、和代さん夫婦が本当に心配しているのは、お金ではありません。
「この子は、親がいなくなったあと、一人で人生を歩んでいけるのだろうか」
そんな思いが、日に日に強くなっているのです。自ら判断し、人と関わり、社会とのつながりを持ちながら暮らしていく力は、お金だけでは得られないからです。
親として子どもを支えたいという気持ちは自然なものです。しかし、「支えること」と「依存を固定化すること」は違います。生活費を出し続けることが、結果として本人から社会へ戻る機会を奪ってしまうケースも少なくありません。
本当に子どもの将来を思うのであれば、少しずつでも社会と関わる環境を整え、自立への一歩を後押しすること。甘えや依存が見られるのであれば、ときには突き放すことも必要でしょう。それが、結果的に本人の人生を守ることにもつながるはずです。
小川 洋平
FP相談ねっと
