◆AIで資料を作成し“誰でも作れるレベル”に修正
![ワル知恵[AI活用]術](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2026/7/1784679334041_itdvtirxam.jpg?maxwidth=800)
「新人向けの研修資料を作ることになった際、在宅勤務の日に社内資料を自宅のパソコンに転送し、無料版のGeminiで資料を仕上げました。通常2週間かかる作業がわずか1時間で終わってしまったのですが、あまりに早く終わると怪しまれるので、締め切りギリギリまで意図的に寝かせておいて『昨日は夜遅くまでやって、やっと終わった!』と同僚に言いました」
なぜ彼はそこまで“ウソ”を盛らなければならなかったのか。
「社内のCopilotでは作れないはずの資料ができてしまった。それに私用PCに社内資料を転送するのもウチではご法度で、二重にNGなんですよ。だからこそ、逆に目立てなかったんです」
バレないための工夫も周到だった。AI特有の“こなれすぎた言い回し”は手作業で修正し、あえて品質管理の専門用語を交ぜ込んだ。Geminiが出力しがちな海外風のおしゃれなイラストは全部外し、社内で見慣れた「いらすとや」の素材に差し替えたのだ。
「完成度を上げすぎると逆に怪しまれる気がして、あえて『誰でも作れるレベル』に抑えたんです。『ちょいダサ』を心がけたというか」
その逆張りの発想は功を奏し、周囲から高い評価を受けたという。
◆AIに疎い上司を騙して昇進する人も
一段上の「評価泥棒」型になると、実害は他者に及ぶ。会社員の村里恵理さん(仮名・30歳)が目撃したのは、同僚による“AI昇進”の一部始終だ。「社内コンペで、ある同僚が企画書の大半をAIに処理させ、自分なりにアレンジして提出していました。AIを使ったことはチーム内の一部メンバーには共有されていましたが、上長や部署全体に対しては完全に伏せられていて。プレゼンの場では、自力で考えたアイデアかのように振る舞っていました」
なぜその同僚は上長には黙っていたのか、村里さんはこう分析する。
「本人の中にAIを使ったことへの後ろめたさがあったんじゃないかと思います。もともとパフォーマンスが高い人だったし、コミュニケーション能力もある。だから周囲は特に怪しまなかったんです」
発表から1か月後、そのアイデアが部署内で称賛され、当該社員は昇進を果たした。経緯を知っていたメンバーたちの間には静かなモヤモヤが広がり、昇進の話が出た際には、一部メンバーが上長に「AIを使ったアイデア出しによる評価はどうなのか」と訴える動きも出たという。
「モヤッとするのはAI利用そのものより、会社の評価体制なんです。会社の評価者が、一人ひとりの作業プロセスを100%把握できているわけじゃない。コンペみたいに成果物だけで判断される場面では、あからさまな使い方でない限り、見抜きようがないですよね。管理職がAIに疎いから『自力でやりました』とアピールすればまかり通ってしまう。使った者勝ちの状態になってしまっています」

